抗癌活性天然物OSW-1のフォトアフィニティープローブの合成及び機能解析

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  • Synthesis of OSW-1 Photoaffinity Probe and Its Biological Evaluation

抄録

<p>【背景・目的】 OSW-1 (1)はユリ科植物Ornithogalumn Saundersiae球根から単離されたサポニンである。コレスタン骨格の16位にL-arabinoseとD-xyloseがグリコシド結合しており、それぞれacetyl基及び4-methoxy benzoyl基がアシル化した特徴的な構造を有する (Fig. 1)1。1は様々な種類の癌細胞に対して強力かつ選択的な抗癌活性を示すが、(mean IC50 = 0.78 nM, NCI-60 cell in vitro screen) 分子レベルでの詳細な作用機構は未だ解明されていない。 </p><p>近年、OSW-1アフィニティープローブを用いてoxysterol binding protein (OSBP)が結合タンパク質として同定された。また、薬理学的手法により1がNa+/Ca2+exchanger 1 (NCX1)を抑制してアポトーシスを誘導することが報告された2-3。しかし、これらのタンパク質と1の癌細胞選択的な作用機構との関連は不明であり、抗癌活性に関与する1の結合タンパク質が他にも存在する可能性が示唆された。</p><p>本研究では、癌細胞選択的な活性に関与するOSW-1結合タンパク質の同定へ向けて、OSW-1を基盤としたフォトアフィニティープローブの開発を目的とした。フォトアフィニティーラベリング法を用いることで、低発現量・低親和性の結合タンパク質や膜タンパク質などを光架橋反応により捕捉できることや、生細胞中での結合タンパク質探索が可能になることが期待される。</p><p>【方法】OSW-1と同等の活性を保持したプローブを得るため、我々がこれまでに得た1の三次元構造に関する知見4に基づいてプローブを設計した。NMR及び結晶構造解析により、cholestane C17位の側鎖・arabinose C3’位のacetyl基・xylose C2’’位の4-methoxyl benzoyl基は疎水性クラスターを形成しており、結合タンパク質の相互作用部位であることが示唆された (Fig. 1)。そこで、フォトアフィニティーラベルの修飾部位として、xylose C4’’位水酸基を用いることとした。</p><p>光反応基として、結合タンパク質への高選択的な反応特性を示したalkyl diazirine基を用いた6-7。フォトアフィニティーラベリング反応後に1,3-双極子環化付加反応によりazide基を有する蛍光基やbitoin基を導入するために、検出基としてalkyne基を用いた。</p><p>1のサンプルは希少であり、また5つの水酸基を有するポリオール化合物であるため、1のフォトアフィニティープローブを効率的に合成するためには、無保護の1に対して位置選択的に機能性官能基を導入することが求められる。そこで我々のグループでこれまでに開発したMe2SnCl2を用いた1のC4’’位選択的モノアシル化反応を用いた5。</p><p> OSW-1フォトアフィニティープローブの合成においてグルタリルリンカーを用いて、Me2SnCl2存在下で1のC4’’位水酸基をアシル化した後、光反応基であるalkyl diazirineと検出基であるalkyneを有するlysineをカップリングするスキームを検討した (Scheme 1)。</p><p>【結果】まず初めに1の部分構造であり修飾化部位であるxylose誘導体3をモデル化合物として用いて、Me2SnCl2存在下C4’位水酸基へグルタリルリンカーを用いてアシル化する条件及び、光反応基及び検出基を有するlysine (4)をカップリングする条件を検討</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288073793280
  • NII論文ID
    130007493174
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.57.0_posterp47
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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