拡張自己の非自発的喪失に関する社会心理学的研究 : 阪神大震災における大切な所有物の喪失に関する実態調査結果より
書誌事項
- タイトル別名
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- The social psychological study of the non-voluntary loss of extended self : Survey results of the loss of the important possessions by Great Hanshin Earthquake
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説明
人は、自分自身の精神活動や身体のみならず、物理的環境内に存在する外的対象物をも、「自己」の一部、すなわち「拡張自己」として捉えている。拡張自己とは、「自分の一部であると認知、同定している全てのモノの集合体」と定義されており、対象物を拡張自己の一部とみなすことが、我々を所有物に固着させる一つの理由として考えられる。本研究では、この拡張自己の一つである「物的所有物」に焦点を当て、自己に対するモノの持つ意味や重要性を、特に「非自発的喪失」という点から探求している。具体的には、1995年1月17日に起こった阪神大震災の芦屋市在住の被災者を対象に、郵送法により調査した。質問紙は、どのような大切なモノの喪失があったのか、なぜそのモノが大切だったのか、地震によりどの程度のストレスが生じたのか、さらにはデモグラフィック要因などの項目により構成されていた。その主な結果は、以下のようなものである。1)最も重要な喪失物については、男女共に「食器」とする結果が得られた。2)大切と思う理由は、男女で異なっていた。男性は「有用性」と回答した割合が高いのに対し、女性は「思い出」と回答した割合が高かった。3)所有物の喪失のない被災者に比べて、喪失のある被災者は地震によるストレスが大きかった。
収録刊行物
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- 人間・環境学会誌
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人間・環境学会誌 5 (1), 1-10, 1998-10-30
人間・環境学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288076196096
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- NII論文ID
- 110009665324
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- ISSN
- 24320366
- 1341500X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可