自己免疫性溶血性貧血に対する輸血療法

  • 上田 恭典
    公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 血液内科 血液治療センター 外来化学療法センター

書誌事項

タイトル別名
  • Transfusion of patients with autoimmune hemolytic anemia
  • ジコ メンエキセイ ヨウケツセイ ヒンケツ ニ タイスル ユケツ リョウホウ

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抄録

<p>自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は,37°Cで反応するIgG性の温式自己抗体による,温式自己免疫性溶血性貧血(WAIHA)と,4°C付近で最も反応する冷式自己抗体によるものとして,IgM性抗体による寒冷凝集素症(CAD)と,4°Cで反応し,37°Cで血管内溶血を生じるIgG性の2相性抗体による,発作性寒冷ヘモグロビン尿症(PCH)に分類される。通常,直接抗グロブリン試験は陽性である。WAIHAでは,交差適合試験が行えず,さらに同種抗体の確認が非常に困難となる。AIHAの輸血においては,同種抗体の確認と将来の同種抗体の生成を防ぐための対策を可能な限り実施する。ABO,Rh(D)適合血に加えて,Rh(C,E,c,e),Kiddを合わせた輸血を行うとともに,赤血球による自己抗体吸着を行い,同種抗体を確認する。また余裕があれば他の血液型の一致についても検討し同種抗体の新たな生成を予防する。輸血にあたっては,1回量は必要最低限に,またゆっくり行う。冷式抗体の場合には,環境,製剤,回路の適切な加温に留意する必要がある。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 59 (10), 2354-2361, 2018

    一般社団法人 日本血液学会

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