『釈摩訶衍論』における修行論

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  • ー特に止観を中心としてー

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    『大乗起信論』(以下、起信論と略す)は修行に関して、「分別発趣道相門」と「修行信心分」に重複して語られる構造となっている。即ち「分別発趣道相門」中に大乗仏教を代表する六波羅蜜行を説示し、「修行信心分」にも五門(施門・戒門・忍門・定門・止観門)からなる修行論を展開する。<br>  『釈摩訶衍論』(以下、釈論と略す)の修行論解釈には、本論である『起信論』の事情に配慮する対応がみられる。『釈論』の論主は、分別発趣道相門(1)に開かれる三種発心中の信成就発心については詳細なる注釈を施しながら、六波羅蜜行を明かす解行発心、真如の内実を紹介する證発心に関しては「文相、明らかなるが故に重釈を須いず(2)」と意識的に触れることをせず、言及を回避する姿勢をみせる。<br>  此のたびの報告では、『釈論』の修行論の特徴について、特に『釈論』が独自の理解を披露している修行信心分中の止観門に注目する。『釈論』は止観門の注釈に際して『起信論』の註疏の中でも、元暁(617ー686)の『起信論疏』を重視する様子が見受けられる(3)。<br>  併せて『釈論』の提唱する修行論と弘法大師空海(774ー835)が構築する真言密教との類似性についても検討することにしたい。

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