ゼオライトを利用した特異な電子状態創出および新奇物質創製

DOI
  • 黒田 泰重
    岡山大学大学院自然科学研究科物質基礎科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Creation of Unprecedented Electronic States and Materials with Specific Properties by Utilizing Zeolite as a Useful Reaction Vessel

抄録

MFI型ゼオライトはサブナノサイズの細孔を有する結晶性のアルミノシリケートである。ゼオライトでは,骨格の一部のシリコン原子をアルミニウム原子で置換することによって,骨格に負電荷が生じ,そのことによってイオン交換能が生じる。ゼオライト中の交換イオンの性質はアルミニウム原子の量とその配列に依存して変化すると考えることができる。亜鉛イオン交換MFI型ゼオライト,ZnMFI,が室温でさえ水素分子を活性化し,水素化物種[–(ZnH)+]と表面水酸基[–(O(L)H)]を形成する現象を見いだした。この現象は,水素分子の結合エンタルピー(436 kJ/mol)を考えた場合,不思議な現象に思える。この反応をモデル反応とし,MFI型ゼオライト中のアルミニウム原子配列の影響を検討した。その結果,細孔の円周上に並んだAl–Al配列をもつサイトがこの水素活性化反応に対して重要な役割を演じていることを明らかにした。更に,この–(ZnH)+種と酸素分子の紫外光照射下での反応を行った結果,亜鉛オゾナイド種,[ZnII–(η2)O3·]+,が形成されること,さらに,この種を室温で真空排気すると亜鉛オキシル種,[ZnII–O·]+,種が形成される現象を見いだした。即ち,この一連の反応は以下に示される可逆反応であることを明らかにした。[ZnII–O·]+(S=1/2)+O2(S=1)⇄[ZnII–(η2)O3·]+(S=1/2)。また,NiMFIの細孔中に(Ni6)0から成るクラスター種を合成することに成功した。この種はバルク状態のニッケルが示す強磁性とは異なる超常磁性の磁気特性を示すことを明らかにした。

収録刊行物

  • ゼオライト

    ゼオライト 35 (4), 145-155, 2018-10-15

    一般社団法人日本ゼオライト学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288082875648
  • DOI
    10.20731/zeoraito.35.4.145
  • ISSN
    09187774
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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