クラフト蒸解の基礎と連続蒸解釜のシミュレーション

書誌事項

タイトル別名
  • Principles of Kraft Cooking and Computer Simulation of Continuous Digester
  • クラフト ジョウカイ ノ キソ ト レンゾク ジョウカイガマ ノ シミュレーション

この論文をさがす

説明

<p>1760年代にイギリスで始まった産業革命により大衆に読書が普及し,印刷,出版,商業が拡大した。連続抄紙機が発明されて紙の生産量が増大し,パルプ原料となる古着が不足し,それに対応するため木材パルプが発明された。木材からパルプを得る方法には,化学的な方法と機械的な方法がある。化学的なパルプ化法には,使用薬品の種類によって,サルファイト法,ソーダ法,クラフト法がある。クラフト法は,NaOH(苛性ソーダ)とNa2S(硫化ソーダ)の混合液で蒸解する方法で,1883年にドイツのダールが実用化した。製造されたパルプは当時競合していたサルファイトパルプよりも強度が高かったので,ドイツ語で強いという単語であるクラフトが使われるようになった。クラフトパルプは難漂白性であったが,カナダのラプソンによる二酸化塩素漂白の発明,酸素,オゾンを用いた漂白法の開発などにより,環境負荷を著しく減らしながら,パルプ強度を損なわずに高白色度まで漂白できるようになり,用途が拡大した。また修正蒸解法の基礎が完成し,蒸解における脱リグニン反応が拡張され,漂白薬品消費量が抑制された。修正蒸解法の選択に当たっては,シミュレーションモデルが大きな役割を果たした。21世紀は全てのモノがインターネットに繋がる第四次産業革命を迎えている。世界のパルプ化法の主流となったクラフト蒸解の理論とプロセスを理解し,AIを積極的に使いこなしてIoT時代の主役として活躍することが期待されている。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 72 (8), 911-920, 2018

    紙パルプ技術協会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ