ごみ分別制度をめぐる社会的合理性の相克

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タイトル別名
  • The Waste Management System in Japan: The Dilemma of Social Rationality between Local Governments and Residents
  • ゴミ フンベツ セイド オ メグル シャカイテキ ゴウリセイ ノ ソウコク

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抄録

<p>本稿では,自治体レベルの社会的合理性(マクロな社会的合理性)を追求した結果として現れるごみ分別制度と,個人レベルの社会的合理性(ミクロな社会的合理性)の結果として現れるごみ分別行動に焦点をあてる。そして,ごみ分別制度の特徴と都市規模という2つの視点から特徴的なごみの分別制度をもつ宮城県仙台市,岩手県釜石市,愛知県名古屋市,熊本県水俣市の4都市において実施した調査データを使用し,自治体レベルの社会的合理性と個人の合理性は一致しうるのかどうかについて検討する。分析の結果,コスト感や無効感,フリーライド志向など,社会的ジレンマ状況を導くような価値観をもつ人ほど,ごみ分別の協力度が低い傾向がみられたが,環境問題に対する関心や規範意識がこれらの価値観を抑制する可能性をもつことも明らかになった。また,住民に手間をかけさせるような制度設計は,はじめから否定されるものではなく,施行時に工夫を凝らせば一定の効果をもつ可能性が示唆された。ただし,そこで必要なのは,「社会全体」といったよりマクロな視点において当該制度によって「よい」環境が維持できる,あるいは当該市(社会)にとって望ましい状況が達成できるといった環境の向上を含めた社会的合理性であり,それが住民に理解されれば,自治体の社会的合理性と住民の社会的合理性が合致し,問題の解決につながる可能性があると考えられる。</p>

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