第119回日本耳鼻咽喉科学会総会パネルディスカッション 超高齢社会における高齢者音声・嚥下障害への対応 : 音声・嚥下機能の維持のための方策

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  • 超高齢社会における高齢者音声・嚥下障害への対応
  • ダイ119カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ パネルディスカッション チョウコウレイ シャカイ ニ オケル コウレイシャ オンセイ ・ エンカ ショウガイ エ ノ タイオウ : オンセイ ・ エンカ キノウ ノ イジ ノ タメ ノ ホウサク
  • ―音声・嚥下機能の維持のための方策―

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Abstract

<p> 超高齢社会を迎え, 高齢者における音声・嚥下機能の維持は喫緊の課題である. 高齢者の2~3割は音声・嚥下障害を来すといわれ, 特に嚥下性肺炎は致命的側面を持つからである. 音声・嚥下機能の維持のためには, 声帯の維持, 喉頭挙上の維持, 咽喉頭の知覚の維持などが重要であり, 従来音声・嚥下リハビリテーションの多くが経験的に行われてきたのに対し, 近年, 多少ともエビデンスを伴う研究成果が輩出されてきた. 声帯の維持においては, 歌唱や音声治療の重要性が臨床研究より提唱され, 音声治療の一つである音声機能拡張訓練 (vocal function exercise) が内喉頭筋の筋電図活動を促進する効果があることが証明された. まだエビデンスはないものの, 内喉頭筋への直接的な電気刺激も試みられている. 一方, 声帯の粘膜の劣化予防として活性酸素を抑制する抗酸化剤の有効性が基礎実験・臨床研究から提唱されている. 声帯の損傷・加齢により声帯粘膜内に多量の活性酸素が生じることが動物実験で示され, 抗酸化剤の投与によって活性酸素を抑え, 声帯粘膜内のヒアルロン酸や各種細胞増殖因子が維持されることが同じく動物実験で示された. さらに臨床研究において, 音声酷使による声帯粘膜の損傷と音声障害が抗酸化剤の投与によって抑制されることが報告されている. 咽喉頭の知覚維持は嚥下機能の維持に極めて重要であり, 近年, 上喉頭神経内枝および咽頭粘膜の干渉波電気刺激が知覚維持に有効であることが解ってきた. 臨床的には干渉波刺激を行うと嚥下回数が増加することが示され, 除脳非動化動物を用いた実験では, 干渉波刺激により嚥下惹起までの時間が短縮すると同時に, 脳幹における嚥下関連ニューロンの活動が促通されることが示された. このように, 近年音声・嚥下機能維持のための多くのエビデンス創出が行われており, 一部は臨床にも応用されている. 音声・嚥下機能を維持し, その障害を予防していくことが健康長寿の促進に必要不可欠と考えられる.</p>

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