マカクザルの発声メカニズムに関する実験的研究
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- 西村 剛
- 京都大・霊長研
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- ヘルブスト クリスチャン
- ウィーン大学・認知生物
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- 香田 啓貴
- 京都大・霊長研
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- 國枝 匠
- 京都大・霊長研
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- 鈴木 樹理
- 京都大・霊長研
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- 兼子 明久
- 京都大・霊長研
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- ガルシア マキシム
- リヨン大学サン・テティエンヌ校
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- 徳田 功
- 立命館大・理工
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- フィッチ W・テカムセ
- ウィーン大学・認知生物
書誌事項
- タイトル別名
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- Experimental studies of phonatory physiology in macaques
抄録
<p>ニホンザルを含むマカクザルでは,音声行動の研究が精力的に行われており,多様な音声レパートリーが知られている。しかし,その発声メカニズムに関する知見は技術的限界により限られていた。本研究は,声帯振動の様態を声帯を通過する電流の変化により非侵襲的に観測する声門電図(EGG)を用いて,生体の音声条件付けおよび摘出喉頭の吹鳴実験により,音声の多様性をうむ発声メカニズムを明らかにした。生体からは,coo,glow,chirp発声中の計測に成功し,それぞれのEGG信号の特徴を明らかにした。摘出喉頭による実験により,その特徴を生じさせる発声運動を明らかにした。これら3つの音声の声帯振動は,声帯の内外転および呼気流の強弱により調整されており,ごくわずかな変化によって異なる音声タイプへと遷移することを示した。また,その声帯振動は,おおよそヒトの7歳児でみられるものに類似した。これらの結果は,ヒトを含む霊長類における発声メカニズムの共通性を示すとともに,サル類でも発声運動をわずかに変化させるだけで,大きく異なる音声タイプを作り出せることを示した。一方,ヒトとの相異もみられた。吹鳴実験では,マカクザルでは,声帯と同時に仮声帯も振動させている可能性を示した。それにより,音声の基本周波数を大きく下げる効果があることが示された。ヒトと異なり,喉頭室が発達したサル類では,前庭ヒダの自由度が高く,仮声帯も容易に振動し得ると考えられる。本研究は,科研費(#16H04848,西村; #17H06380, #18H03503,香田),APART(Herbst)の支援を受けた。</p>
収録刊行物
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- 霊長類研究 Supplement
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霊長類研究 Supplement 34 (0), 53-53, 2018-07-01
日本霊長類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288095044608
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- NII論文ID
- 130007521072
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可