フィリピン・パラワン島におけるパラワンの家畜預託に関する予備的研究
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- 辻 貴志
- 佐賀大学
書誌事項
- タイトル別名
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- A Preliminary Study on the Deposit Custom of Domesticated Animals among the Pala'wan in Palawan Island, the Philippines
抄録
本発表は、フィリピン・パラワン島における少数先住民族パラワンの間で確認できる家畜の預託慣行について報告する。 家畜預託とは、知り合い同士が家畜を一定の取り決めの元で貸し借りする慣行のことである。家畜を貸す側は、自分で家畜の世話をする手間が省ける。家畜を借りる側は、家畜が仔を産むとそれが自分の取り分となり、双方にメリットがあると考えられる。<br><br>本発表では、2017年に実施したフィールドワークの結果をもとに、フィリピン・パラワン島の少数先住民族パラワンの家畜慣行の状況と意義について検討する。<br><br>調査の結果、パラワンは、スイギュウ、ウシ、ヤギ、ブタ、ニワトリなどを飼養するが、いずれも家畜預託の対象であることが判明した。30世帯に対する質問票および聞き取り調査の結果、11世帯が家畜預託をしていると回答した。家畜預託の対象は、親族や知人であり、預託の目的は、家畜を貸す側は地理的に家畜の世話ができない場所にいる、借りる側は家畜を繁殖させ仔を得ることを目的にすることが明らかとなった。また、2番目の仔は貸す側の取り分になる、不慮の事故で家畜が死んだ場合、弁済責任がないなどの取り決めも確認できた。他民族間でも積極的に預託が行われていることも判明した。<br><br>以上、パラワンの間で家畜預託が30%程度の割合で行われていることが判明した。家畜預託の他にも、購入や贈与が確認でき、家畜飼養には様々なネットワークが介在していることが伺えた。家畜預託にはリスクも伴うが、人々は緩く取り決めを決めているようであった。家畜の預託は、家畜を貸し借りする双方の信頼関係と思惑で成立していると結論付けられる。
収録刊行物
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- 日本地理学会発表要旨集
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日本地理学会発表要旨集 2018a (0), 30-, 2018
公益社団法人 日本地理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288095903616
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- NII論文ID
- 130007539885
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可