退職給付債務の市場評価をめぐるパズル

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  • タイショク キュウフ サイム ノ シジョウ ヒョウカ オ メグル パズル

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抄録

<p>本稿の目的は,未認識の退職給付債務(以下,未認識債務)が母体企業の純資産時価に与える影響を明らかにすることである.実証分析の結果,企業特性や業種をコントロールした上で,未認識債務が高い企業ほど将来の業績が悪いことがわかった.その一方で,未認識債務が高い企業ほど,株価が高く,さらに将来の高いリターンを予測することが明らかになった.しかも,この現象は,多額の未認識債務を抱える企業に牽引されていることがわかった.これらの結果は,株式市場においては,未認識債務が母体企業の純資産時価を「毀損」するという通念とは全く逆の評価がなされているというパズルの存在を提起するものである.本稿では,未認識債務が高い企業ほど企業年金の給付減額による債務のエクイティー化を実現する可能性が高く,この「期待」を株式市場が徐々に織り込んでいるという仮説を提示することで,このパズルの解釈に関する予備的考察を加えた.</p>

収録刊行物

  • 現代ファイナンス

    現代ファイナンス 33 (0), 53-77, 2013-03-31

    日本ファイナンス学会 MPTフォーラム

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