病院・診療所での医療安全

  • 住谷 昌彦
    東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部/麻酔科・痛みセンター
  • 住谷 瑞穂
    慶友銀座クリニック耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • 第119回日本耳鼻咽喉科学会総会教育セミナー 病院・診療所での医療安全
  • ダイ119カイ ニホン ジビ インコウ カガクカイ ソウカイ キョウイク セミナー ビョウイン ・ シンリョウジョ デ ノ イリョウ アンゼン

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説明

<p> 高度に発展した現代医療においては, それぞれが特化した専門性を持つ医師や看護師など, 役割と知識や教育システムが異なる多様な医療職種がチーム医療を担っており, これらのプロフェッションとしての医療専門職集団が円滑に連携することによって初めて医療安全が確保される.</p><p></p><p> 医療安全とは, 医療における最も基本的な要件で, 患者に安全な医療サービスを提供することだけでなく, 医療事故や紛争を起こさないための方策とこれらが起きた場合の対応策と定義されている. 厚生労働省がその実現のための10の要点を提案し周知して以来, 病院・診療所いずれの医療機関においても医療安全への重点的な取り組みが望まれてきた. 耳鼻咽喉科は, 内科的役割と外科的役割 (手術加療) の双方を担当する広い診療技能を必要とする特性を持つ. 手術の中にも耳科・鼻科手術や音声手術のような機能改善を目的としたものから, 頭頸部がんや頸部膿瘍, 急性喉頭蓋炎など生命の危機に直結する緊急的な手術症例までを診療対象としており, 医療安全の観点からも患者重症度およびその背景に留意した理解と対応が必要である.</p><p></p><p> 医療安全のための心構えと基本的考え方として, リスク情報の開示, 提供, 意見交換を行うリスクコミュニケーションがある. 医療におけるリスクコミュニケーションは患者参加が原則で, 医療者は専門性を高めて相互参加する必要がある. 重篤な事象の発生を防止する方法としては, リスクに対する問題解決型アプローチであるインシデント/アクシデント報告システムが広く取り入れられている. 病院における組織的取組と環境整備として, 診療科・多職種横断的な委員会で重篤な疾患予防, 早期診断, 治療について対応することも重要である. また個々の患者の治療方針を決定する際に重要な概念となるヘルスリテラシーの指標として, その質問票である Newest Vital Sign (NVS) の日本語版がある.</p>

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参考文献 (6)*注記

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