トウモロコシ交雑率の年次変動に与える生物・気象条件の影響

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タイトル別名
  • Effects of biological and meteorological conditions on inter-annual variation in hybrid percentage of maize
  • トウモロコシ コウザツリツ ノ ネンジ ヘンドウ ニ アタエル セイブツ キショウ ジョウケン ノ エイキョウ

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抄録

遺伝子組み換え体作物が生態系に与える環境影響を評価する研究に関連して,遺伝子組み換え体作物から近縁種への遺伝子のフローが問題となっている.これは,とりわけ風媒花であるトウモロコシの場合には深刻な問題である.そこで我々は,交雑率の決定要因を明らかにするため,トウモロコシ種子の持つキセニア現象を利用して,5年間にわたって野外で交雑実験を行い,同時に気象条件を観測した.本報告では,花粉飛散数,気象条件,および交雑率の年次変動等を比較検討するとともに,交雑率の違いが花粉飛散条件の違いによってどの程度説明できるかについて検討した.その結果,交雑率平均値は,年次により大きく変化し,本実験の5年間では,0.7%から4.5%まで変化した.また,すべての年で,交雑は空間的に不均一に起こり,交雑率の高い領域が島のように分布していることがわかった.さらに,ドナーからの距離に伴う交雑率の変化パターンが,その年の生物・気象条件と,どのような関係が見られるかを調べた.その結果,総花粉飛散数が,距離と交雑率の関係を決定する第1の要因となること,風速と風向が第2の要因となることなどが明らかになった.周辺環境への花粉飛散による遺伝子流動を抑制するためには,まず放出源である群落の花粉放出強度を小さくすることであり,同時に,栽培地の局地気象環境を充分考慮することが重要であると考えられる.

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