症例検討ワークショップ4「不眠症」

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抄録

不眠症は、寝付きたい時間帯に寝付けない(入眠困難)、夜間の睡眠維持が困難(中途覚醒、早朝覚醒)、翌朝ぐっすりと眠った感じがない(熟眠障害)といった症状が1 ヶ月以上続き、これにより日中の機能障害と苦痛をもたらすものである。我が国では欧米諸国と同様に、国民のおよそ5 人に1 人がなんらかの不眠症に関連した愁訴を有し、人 口の5%以上が睡眠薬を使用していることが、一般人口を対象とした疫学調査から明らかになっている。不眠症は有病率の高いcommon disease だが、夜間睡眠の量や質の問題だけではなく、社会生活にも悪影響を及ぼすので、その適切な対応は専門医のみならず実地医家にとっても重要な課題と言える。  不眠を繰り返し訴える患者に対し、多種類あるいは高用量の睡眠薬が投与されているケースが散見されるが、多剤高用量使用下では薬剤に期待される効果が得られないだけでなく、有害事象が出現しうることから、このような不適切な使用は避けられるべきであろう。不眠症治療においては睡眠衛生指導の重要性が強調されているが、多剤高用量 処方のような、不適切な睡眠薬使用に至る背景には、これらが十分になされていないことが少なくない。本ワークショップでは、異なった背景をもつ不眠症患者に対し、それぞれの症例にあわせた望ましい介入法を検討するとともに、実地臨床の場で適応可能な睡眠衛生指導についても解説する。

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