車載ミリ波レーダにおける物標ラベリングの不安定性を解消するPHDパーティクルフィルタの有効性検証

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タイトル別名
  • A PHD Filter Solution for Instability of the Target Labeling in the Vehicle Installation EHF-Band Radar System
  • シャサイ ミリハ レーダ ニ オケル ブツヒョウ ラベリング ノ フアンテイセイ オ カイショウ スル PHD パーティクルフィルタ ノ ユウコウセイ ケンショウ

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抄録

<p>衝突防止自動ブレーキなど,安全運転支援技術のためにカメラ画像識別技術が広範に用いられているが,画像識別は悪天候や夜間で精度が劣化するため,補完技術として全天候型自然光非依存のミリ波レーダーが有用であり,組込み技術により高速処理可能であることから車載センサとして採用されている.つまり,カメラ画像の誤・不認識状況下で,ミリ波レーダは,事故防止の最後の要と言える.一方,2016年に発生したテスラ社Model SのAutopilotモードは,Highwayを横切った大型トレーラーに衝突する悲惨な事故を起こし,肝心の要が機能しなかった可能性が指摘されている.ミリ波レーダの課題は,1)他の車載レーダからの干渉波,2)多重反射波(マルチパス波),3)歩道橋やガードレールなどからの反射波(クラッタ)による擬似物標認識である.先の事故は,大面積物体からの反射波を「車両ではない」として,障害物としての処理の例外としていた可能性がある.現実的には,車載技術は運転が円滑に行われるよう複数の例外則を組み込むことが多く,状況依存性や柔軟性が課題となっている.本研究では,1-3の問題に対して,移動物体が時系列として整合性を持つ仮定を導入し,複数対象追尾が理論的に保証されている確率仮説密度(Probability Hypothesis Density, PHD)パーティクルフィルタを適用することで,その妥当性と有効性について検討した.基礎実験の結果,PHDフィルタは組み込みシステムが同じ物標を異なるラベルで検知した場合でも,その時系列情報としての整合性から,一貫して同じ物標として捉えることができることがわかった.一方,道路の構造上発生する安定したマルチパス波は,時系列変化が安定しているため,PHDフィルタの単純適用では除去が困難であることが示唆され,前処理としての深層学習等のフィルタとのフュージョンセンサの検討も重要であることがわかった.</p>

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