シャント術で胎児水腫を改善させ得ずMirror症候群の増悪から児を救命できなかったMacrocystic CPAMの1例

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タイトル別名
  • A case of fetal macrocystic CPAM in which associated hydrops did not resolve despite fetal therapy resulting in worsened mirror syndrome and early neonatal death

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39歳の1回経産婦.Macrocystic typeの胎児先天性肺気道形成異常(CPAM)の診断で妊娠20週に当院へ紹介された.超音波断層法で胎児左肺を占拠する56×37×26 mmの多房性嚢胞性病変を認め,CPAM volume ratio(CVR)は1.61と算出された.少量の胎児腹水を認め,胎盤は肥厚していた.妊娠22週に入院した際には胎児皮下浮腫も認められ,胎児水腫と診断した.数日前から出現した著明な悪心と嘔吐の訴えがあり,母体顔面と手背に浮腫を認めた.血液検査で,軽度の貧血(Hb10.2 g/dL)と血小板数低値(10.0万/μl),低アルブミン血症を認め,血中hCGは178,077 mIU/mlと高値であった.Mirror症候群と診断した.妊娠22週5日に嚢胞羊水腔シャント術を行った.ただし,多房性であったが故に一定サイズの嚢胞が残存することとなり,妊娠23週1日のCVRは1.20であった.胎児胸壁の皮下浮腫は消失せず,腹水に減少を認めなかった.妊娠23週5日,一過性に母体の酸素化不良となり,胸部X線で両側胸水貯留と肺うっ血,心拡大を認めた.血液検査で血液希釈が進行しており,尿量も減少した.妊娠継続は困難と判断し,分娩誘発の方針とした.うっ血性心不全に対してアルブミンやフロセミドの投与を行いながら,妊娠24週2日,経腟分娩に至った.児は860gの女児で早期新生児死亡となった.胎盤重量は725gで浮腫著明であった.産後母体症状は速やかに改善した.巨大macrocystic CPAMが多房性である場合の問題点として,シャント術後にも腫瘤が残存し,その結果として胎児水腫の改善にも至らないケースがあることを認識した.

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 46 (1), 77-82, 2019

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (18)*注記

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