ブラジルにおけるQCの発展と日本的TQC
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- MIYAKE Dario Ikuo
- Univesity of Sao Paulo
書誌事項
- タイトル別名
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- The development of QC in Brazil and the Japanese style TQC
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抄録
ブラジル経済は,50年代までの農業国から60年代,70年代に多国籍企業の進出および政府主導の企業育成により,急激に工業化が進展した.80年代になると,超インフレによる経済の混乱により,当時からTQCやJIT等の日本的なマネジメントも知られていたものの,経営者の関心も製造よりも財務,金融に行かざるを得なかった.90年代になると,政府による輸出の増加,輸入の障壁の軽減,私企業化,競争原理を促進する規制緩和等の策により,事態は改善されつつある.ブラジル企業が品質保証の重要生に気が付いたのは,多くの国と同様にごく最近である.88年には品質マネジメントの人材育成の国家プロジェクト(PEGQ)が発足し,90年にはISO9000に基づくブラジル認証システムが制定され,現在1,100社の企業が認証登録されている状況である.また,91年にはマルコム・ボルドリッジ国家品質賞をベースにした国家品質賞(PNQ)も制定されるに至っている.ブラジル企業でもポカヨケ,5S,かんばん,改善,あんどん等の日本的なマネジメントは,部分的には導入されていた.しかしながら,日本のブラジルへの投資は欧米に比べて少なく,品質管理のベースも欧米的なものであった.それでも80年代から日本的TQCへの感心が高まったが,そのモデルはブラジル人には異質なものであり,理解し難いものであった.QCサークル導入の試み等がなされたが,経営者,従業員双方にフラストレーションを生じさせるだけという状況であった.しかしながら,その後JUSE, JICA, AOTSによる交流等の努力がなされ,現在数社が日本的TQCを導入するまでに至っている.さらに,ブラジル流にカストマイズしたTQCも工夫されつつある.それとともに一方で,ISO9000とTQCの推進との間で混乱も見られる.両者をどのように相互補完的に運用していくかを明確にする必要があり,これが現在の一番の課題である.
収録刊行物
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- 品質
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品質 26 (2), 44-49, 1996-04-15
一般社団法人 日本品質管理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288118909952
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- NII論文ID
- 110003154595
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- NII書誌ID
- AN00354769
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- ISSN
- 24321044
- 03868230
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可