貧困世帯の子どもの学習支援事業の成り立ちと福祉・教育政策上の位置づけの変化――行政審議,国会審理および新聞報道から――

  • 松村 智史
    首都大学東京大学院人文科学研究科(博士後期課程)

書誌事項

タイトル別名
  • The Development of the Educational Support Project for Poor Children and the Change of Its Policy Objectives ――Based on Records from Administrative Councils, Diet Deliberations and Press Reports――
  • ヒンコン セタイ ノ コドモ ノ ガクシュウ シエン ジギョウ ノ ナリタチ ト フクシ ・ キョウイク セイサク ジョウ ノ イチズケ ノ ヘンカ : ギョウセイ シンギ,コッカイ シンリ オヨビ シンブン ホウドウ カラ

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抄録

<p>本稿は,貧困世帯の学習支援の成り立ちと教育・福祉政策上の位置づけの変化を分析した.まず,成り立ちを行政・国会議事録,新聞報道から検証した.2004年の「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」で,有子世帯の自立を促す手段として子どもの高校進学の重要性が指摘された.その後,時代の要請に応じ,健全育成,社会的な居場所,さまざまな能力向上に資する場という意義が付加された.国会でも2000年代半ばから,各地の先進的取り組みや学術成果をもとに活発に議論が展開され,子どもの貧困対策法につながる基盤が醸成された.さらに,新聞報道が課題を社会に発信する重要な役割を果たしてきた.貧困世帯の子どもの学習支援は,有子世帯の自立を促す福祉政策としてスタートしたが,子ども自身の健全育成や学びに重きが置かれるようになり,近年,子どもの教育機会の保障に資する教育政策としての意義,位置づけが拡大していることが明らかになった.</p>

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 57 (2), 43-56, 2016-08-31

    一般社団法人 日本社会福祉学会

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