DSM的理性とその不満

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タイトル別名
  • DSM-Reason and Its Discontent
  • DSMテキ リセイ ト ソノ フマン

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抄録

<p>本稿では、1980年出版の米国精神医学会による診断マニュアルの第3版(DSM-III)以降に明確化した米国精神医学パラダイムをDSM的理性として分析し、その歴史を2013年の第5版(DSM-5)登場まで概観する。とくに、精神疾患の診断名をめぐるcontestationをたどることで、作成・改訂過程のなかでcontestationが生じやすいのはどのような場合かを明らかにする。その結果、診断名や診断基準を多数決で決定すること、精神医学コミュニティ以外の多様なアクターの関与(アイデンティティ承認や経済的利害)、操作主義的な精神疾患の定義であるため正常と疾患の境界があいまいであること、生物医学モデルとは異なっていること、などのDSM的理性の特徴がcontestationを引き起こしていることが示唆された。医学は決して一枚岩ではなく、多様な社会的力関係のなかに組み込まれている。</p>

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