平成22年度国民生活基礎調査匿名データから得た小児期の自覚症状および通院状況に関する分析

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of Subjective Symptoms and Hospital Attendance During Childhood from Anonymous Data of the 2010 Comprehensive Survey of Living Conditions

この論文をさがす

抄録

<p>国民生活基礎調査の匿名データを用い,小児期の口腔を含む「自覚症状名:ここ数日,病気やけがなどで具合が悪いところ(以下,症状名とする)」,「通院傷病名:現在,どのような傷病で医療機関等に通っているか(以下,傷病名とする)」について,相対的な評価や生活状況との関連性を検討した。</p><p></p><p>対象者は0~14歳の平成22年度国民生活基礎調査の回答者2,129名である。</p><p></p><p>各項目間の比較は分割表により分析した。回答率が高かった項目については,回答類似性を検討するため,階層クラスター分析を実施し,以下のような結果を得た。</p><p></p><p>1.自覚症状を有する者は502名(23.6%),通院している者は413名(19.4%)であった。</p><p></p><p>2.症状名,傷病名ともに呼吸器系や皮膚の項目は上位となっていた。</p><p></p><p>3.歯科系の症状名は症状名順位で比較的低位に位置していたが,傷病名では全体順位で2位となっており,「最も気になる傷病名」でも比較的上位に位置していた。症状名,傷病名ともに,回答回答順位と「最も気になる」との相対評価順位では,多くの項目で順位に変動が認めらた。</p><p></p><p>4.社会的要因との関連については,総所得と自覚症状の有無との比較で関連が認められ(p<0.01),所得額が低い群で自覚症状が「ある」者が多かった。また,生活意識が「ゆとりある」群で,傷病名「歯の病気」で通っている割合が高く,両項目間に関連が認められた(p<0.05)。</p><p></p><p>5.階層クラスター分析の結果,樹状図の配置は,生活意識や総所得の近隣に皮膚症状・傷病が位置していた。歯科系の項目では,症状名「歯が痛い」「歯ぐきはれ・出血」は傷病名「歯の病気」と隣接していたが,「かみにくい」は両者より離れており,症状名により通院行動に対する影響度に違いがあると示唆された。</p><p></p><p>これらの結果から,小児期における自覚症状,傷病名の認識や相対的評価に関する特徴が把握でき,その傾向を踏まえて今後の歯科保健対策を検討する必要がある。</p>

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 56 (1), 56-64, 2018-02-25

    一般財団法人 日本小児歯科学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ