サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン摂取による関節保護効果

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  • Arthroprotective effects of salmon nasal cartilage-derived proteoglycan

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 プロテオグリカン(PG)とは,コアタンパク質に1 本以上のグリコサミノグリカンと呼ばれる糖 鎖が結合した分子群で,コラーゲンやヒアルロン酸とともに細胞外マトリックスを形成している. PG は関節軟骨の潤滑作用や緩衝作用などの役割が知られているが,変形性膝関節症(膝OA)が進 行すると,関節軟骨が磨耗し,炎症と痛みを伴う病気であるため,軟骨成分の維持が重要であると 考えられる.<br>  近年,郷土料理の「氷頭なます」の調理法をヒントにして作られたサケ鼻軟骨由来プロテオグリ カン(SPG)が開発された.SPG の機能性としては,美肌作用,血糖値上昇抑制作用,腸内フロー ラ改善作用などが報告されている.<br>  本研究では,膝関節に不快感を有する健常な男女60 名(平均52.4 歳,Kellgren-Lawrence 分類 0 - Ⅰ)を被験者とし,SPG(10 mg/ 日)を16 週間摂取させたランダム化二重盲検プラセボ対照並 行群間比較試験を実施し,Ⅱ型コラーゲン分解マーカー(C1, 2C)とⅡ型コラーゲン合成マーカー (PⅡCP)の軟骨代謝マーカーに対する影響を検討した.その結果,日本版変形性膝関節症患者機能 評価尺度(Japanese Knee Osteoarthritis Measure, JKOM)スコア41 以上および,安静時の膝の 疼痛(Visual Analogue Scale, VAS)1 mm 以上の層別解析において,SPG 群はプラセボ群と比較 して摂取16 週後に⊿ C1, 2C 値が有意に減少し,⊿ C1, 2C/PⅡ CP 比は減少傾向を示した.<br>  次に,自然発症型膝OA モデルのSTR/Ort マウスは,加齢に伴って膝OA を発症し,関節軟骨の 磨耗変性や石灰化,関節間隙の狭小化など,ヒトの膝OA と類似した病態を呈することが知られてい る.32 週齢雄性STR/Ort マウスにSPG(10 mg/kg)を4 週間経口投与し,試験終了後にサフラニ ン-O 染色標本により膝関節組織に対する影響を検討した結果,SPG 投与により軟骨損傷抑制および PG の減少抑制が確認された.<br>  これらの結果より,SPG は軟骨成分の分解を減少させ,軟骨代謝を改善することにより,関節軟 骨を保護する可能性が示唆された.

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