妊娠期に母親が語る虐待不安の様相:育児経験による違いに着目して

書誌事項

タイトル別名
  • Abuse Anxiety during Pregnancy: Differences Based on Parenting Experience
  • ニンシンキ ニ ハハオヤ ガ カタル ギャクタイ フアン ノ ヨウソウ : イクジ ケイケン ニ ヨル チガイ ニ チャクモク シテ

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説明

<p>本研究の目的は,妊婦の抱く虐待不安の様相を明らかにすることであった。妊婦45名(初産婦28名,経産婦17名)を対象に半構造化面接を実施し,虐待不安に該当する語りについてKJ法を参考に分類を行った。その結果,妊婦の語る虐待不安は,「I.虐待親への共感的反応」と「II.虐待をする親と思われることへの不安」,「III.虐待的な行動に関する不安」の3種類に分類できた。さらにその詳細を見てみると,Iには,『自分の育児と虐待との紙一重感』,『虐待をする気持ちがわかる』,『虐待はひとごとではない』,IIには,『加害者と思われることへの不安』と『子どもが虐待と捉えることへの不安』,IIIには,『手をあげることへの不安』や『自分の感情を制御できないことへの不安』など8種類の下位分類が含まれることがわかった。これらの結果から,従来では捉えきれなかった虐待不安の多様性が明らかになった。また,虐待不安を抱くプロセスについては,初産婦と経産婦とで違いがあることが示唆された。今後は,より詳細に虐待不安を抱くプロセスのパターンを検討し,妊婦の抱く虐待不安の様相とそのプロセスのパターンの組み合わせによる具体的な妊婦支援の提案を行っていく必要があるだろう。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 28 (1), 1-11, 2017

    一般社団法人 日本発達心理学会

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