穀粒の厚層乾燥特性に関する研究(第2報) : 玄米乾燥への適用

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  • Study on the Deep Bed Drying Characteristics of Various Grains (Part 2) : Application to the Brown Rice Drying

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近年,普及が進んでいるラック式乾燥装置では静置式で穀物の厚層乾燥が行われる.前報において,籾の厚層乾燥における含水率の平均値および分布の状況を推測するシミュレーションプログラムを作成し,それを用いて乾燥過程に対する乾燥条件の影響を考察した.本報では,コスト削減に効果があるものの循環乾燥機では肌ずれ発生が多くなり品質の維持が困難な玄米乾燥に厚層乾燥を適用するための検討を行った.1)玄米乾燥として,通風乾燥と籾殻混合乾燥を行い,比較対照区として通常の籾通風乾燥を行った.通風条件は文献で提案されたものを適用した.2)変動する通風温度と湿度を多項式で近似してシミュレーションを行った結果,実際の乾燥過程をよく近似できることが確認された.3)玄米通風乾燥における胴割れ率および砕米率は籾対照区と比べてほとんど差がなく低い値で推移する.今回採用した通風状態であればそれらの問題はないと言える.4)高水分籾を脱ぷしてから行われる玄米乾燥は,籾通風乾燥に比べて肌ずれの発生が多い.しかし,本実験で検討した乾燥方法による肌ずれ率は循環乾燥機による場合よりも非常に低い値となる.5)玄米乾燥で仕上げられた玄米は籾乾燥の場合に比べて約1.5倍の脂肪酸度となる.玄米乾燥後2週間以内に精白することにより脂肪酸度の差はなくなり,玄米乾燥の可能性が確認された.また,精白米を無洗米化すると,脂肪酸度は精白米と比較してきわめて低い値で推移し,さらに品質維持に有効であることがわかる.6)各乾燥方法から得られた精白米の食味計値はほぼ同じ値を示し,この面からの玄米乾燥の問題はない.7)検討した玄米乾燥の2つの方法について,作業性を考慮すると玄米通風乾燥が優れていると判断した.

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