ナノフォレスト事業への取り組みと今後の展開

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タイトル別名
  • Commercialization and Application Development of Nanoforest
  • ナノフォレスト ジギョウ エ ノ トリクミ ト コンゴ ノ テンカイ

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抄録

<p>中越パルプ工業(以下当社)では,物理的手法の一つである九州大学大学院の近藤哲男教授が考案した水中カウンターコリジョン(Aqueous Counter Collision=ACC)法を用いたセルロースナノファイバー(CNF)「商品名:nanoforest(ナノフォレスト)」を製造している。nanoforestは,極微小なサイズを意味する「nano(ナノ)」と,天然の森林を意味する「forest(フォレスト)」を組み合わせてネーミングした。天然のナノ素材として注目が高まっているCNFは,軽量,高強度,高弾性率,低線熱膨張といった優れた特性を有することで,様々な素材の特性を向上させることが期待できる。この製造法は,衝突圧や衝突回数も制御が可能である。また水のみで素材を微細化するため安全性の高い試料を得ることができる。</p><p>また,この製造法で得たnanoforestは,親水性に加え疎水性サイトを持つユニークなCNF,すなわち両親媒性を持ったCNFである。</p><p>当社は,2017年6月に,鹿児島県薩摩川内市の川内工場にセルロースナノファイバープラントを稼働させ,同年9月に樹脂化工程プラントを稼働させている。水溶性nanoforestをnanoforest–S,樹脂に分散しやすいnanoforest乾燥粉末をnanoforest–PDPとして製造している。研究開発品としては,nanoforest–Sの表面化学修飾を実施した疎水性nanoforest(nanoforest–M)や樹脂を併用しないnanoforestのみからなる3次元成型体,nanoforestを漆に複合した高機能素材開発等に取り組んでいる。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 73 (2), 111-115, 2019

    紙パルプ技術協会

参考文献 (2)*注記

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