森林限界の樹木4種における水利用特性の解明

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タイトル別名
  • Hydraulics and photosynthetic characteristics of four tree species growing at forest limit.

抄録

<p>樹木の生存境界である森林限界は、低温、乾燥および冬季の土壌凍結などにより樹木にとって水利用が厳しい環境である。本研究では、樹木が高標高にどのように適応し生育しているかを明らかにするため、乗鞍岳2500m付近の森林限界に優占する落葉広葉樹(ナナカマド、ダケカンバ)および常緑針葉樹(オオシラビソ、ハイマツ)4樹種の水分生理特性および光合成特性を調べた。ナナカマド、オオシラビソは日中気孔を大きく開かず水分保持的な応答を示した一方で、ダケカンバ、ハイマツは高い気孔コンダクタンスを維持して水消費的な応答を示した。ナナカマドは4種のうち最も水ストレスの影響を受けており、葉の浸透調節による適応がみられた。オオシラビソは葉や幹の貯留水によって水利用のインバランスを調節している可能性がある。ダケカンバは土壌―葉間の通水コンダクタンスが高いことにより蒸散が維持されることが示唆された。ハイマツは失水に強い葉を持ち、また高い通水コンダクタンスや水ポテンシャルによる駆動力から蒸散が維持されていた。ハイマツのこのような水利用特性は、山岳域における高ストレス環境下でも生育できる適応様式の一つと考えられる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288136895872
  • NII論文ID
    130007645675
  • DOI
    10.11519/jfsc.130.0_608
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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