〈一般演題抄録〉急性期脳卒中に対する血管内治療の初期治療経験について

  • 棟方 聡
    つがる西北五広域連合つがる総合病院脳神経外科
  • 菊池 潤
    つがる西北五広域連合つがる総合病院脳神経外科
  • 吉川 朋成
    つがる西北五広域連合つがる総合病院脳神経外科

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タイトル別名
  • <一般演題抄録>急性期脳卒中に対する血管内治療の初期治療経験について

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抄録

【はじめに】脳卒中ガイドライン追補 2017 において急性期脳梗塞に 対して、アルテプラーゼ(t-PA)静注療法に追加して、発症 6 時間以内に主にステントリトリバーを用いた血管内治療(機械的血栓回収療法)を開始することが強く推奨(グレード A)されることとなった。<br> 【目的と方法】われわれの施設でもガイドライン追補に伴い、本格 的に血管内治療を開始した。若干名の治療を経験できたため、治療 成績の妥当性や、今後の課題について後方視的に検討を行った。<br> 【結果】2017 年 4 月 —2018 年 3 月に 7 症例の治療を経験した。平 均年齢は 63.1 歳で、男女比は 3:4 であった。全例が心原性脳塞栓症の病型診断で、閉塞血管は内頸動脈:1 例、中大脳動脈:5 例であった。t-PA 静注療法後、発症 6 時間以内に機械的血栓回収術を施行した。手術手技は ARTS(Aspiration-Retriever Technique for Stroke)法を用いた。全例において良好な再還流(TICI2b:2 例、TICI3:5 例)が得られたが、予後良好例は 43%(mRS0:2 例、mRS1:1 例)であった。mRS6が 2 例あり脳ヘルニアおよび肺炎が原因であった。<br> 【考察】大規模臨床試験のメタ解析(HERMES:Lancet 2016)の結果では mRS0 —1:26.8%および mRS0 —2:46.1%で、当科の治療成績は妥当な結果と考えられた。予後不良例の中には発症 4.5 時間以内であっても、MRI 画像上側副血行路不良などが原因で適応の厳しい症例が含まれている可能性があり、症例の選択にも注意が必要である と考えられた。

収録刊行物

  • 弘前医学

    弘前医学 69 (1-4), 209-, 2019

    弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会

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