P-2-E17 当科入院中の重症心身障害児(者)の停留精巣に関する評価

DOI
  • 草開 祥平
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 本橋 裕子
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 竹下 絵里
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 石山 昭彦
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 小牧 宏文
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 中川 栄二
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 須貝 研司
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科
  • 佐々木 征行
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター病院 小児神経科

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抄録

背景と目的 停留精巣は、精巣が陰嚢底部に下降していない状態である。一般小児において、停留精巣の1歳時点での合併率は1.0〜1.7%程度であり、停留精巣があると悪性腫瘍の発生が約5倍高くなると報告されている。当院に入院中の重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))において、停留精巣に精巣腫瘍を合併した1例を経験したため、検診目的に長期入院患者男性全例に陰部診察を行った。その結果得られた、当院の重症児(者)の停留精巣の有病率、腫瘍化の有無を報告する。 対象と方法 診療録を用いた後方視的研究。患者は2017年5月時点で当科に100日以上入院している大島分類1〜4の男性。陰嚢内に精巣を触知しない例において、過去の画像検査を用いて精巣の位置を確認した。 結果 患者は30例、平均年齢は38歳[18-52歳]であった。背景疾患は、脳性麻痺10例、低酸素脳症後遺症5例、髄膜炎などの脳炎後遺症5例、代謝疾患4例、脳形成異常3例、染色体異常2例、DRPLA 1例であった。停留精巣は7例(23.3%)に認められ、4例が両側、3例が片側であった。停留精巣7例はすべて鼠径部に位置していた。また、1例 (14.3%)に腫瘍化を認め、切除術を施行された。組織型はLeydig細胞腫であった。検診時の精巣の大きさを記録し、その後経時的に大きさの変化を触診にて評価しているが、現時点で明らかな増大傾向を示し、腫瘍を疑う症例はいない。 結語 重症児(者)における停留精巣は頻度が高いが、幼少期からさまざまな合併症を有しているため、治療の優先順位が低くなってしまった可能性がある。停留精巣に対して加療を行うかどうかについては患者自身の合併症や家族の希望に強く影響されるため、総合的な判断が求められる。腫瘍化を見落とすことのないように定期的な評価が必要である。

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