P-1-G25 成人期の重症心身障害者の親に対するリフト導入への取り組み

DOI
  • 金坂 一篤
    千葉県千葉リハビリテーションセンター 小児療法室 理学療法科
  • 頼 桃子
    千葉県千葉リハビリテーションセンター 小児療法室 作業療法科
  • 石田 純
    千葉県千葉リハビリテーションセンター 小児療法室 理学療法科
  • 廣瀬 綾奈
    千葉県千葉リハビリテーションセンター 小児療法室 言語聴覚科
  • 西澤 ひとみ
    千葉県千葉リハビリテーションセンター 小児療法室 理学療法科
  • 石井 光子
    千葉県千葉リハビリテーションセンター 小児神経科

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抄録

はじめに 成人期の重症心身障害者の親は徐々に高齢化しており、介護時の負担増が懸念される。自宅ではベッド・床からの移乗や入浴の際に親が抱き上げて行っている実態があり、一緒に転倒してしまったという話も聞く。そこで、介護時のリスクや負担を軽減することを目的にリフト導入への情報提供を主とした取り組みを始めたので報告する。 実施内容 リフトを使用している成人期の重症心身障害者2名(ともに脳性麻痺)の自宅を訪問し使用場面を見学した。1名は床から室内用車椅子への移乗時に必要な床走行リフト使用。もう1名は入浴時に脱衣所から浴槽まで移動できる固定式の2関節タイプのリフト使用。2名の使用場面を写真に取り、親からリフト導入後の感想を伺った。1人の母は「父親がいないと床から車椅子へ乗せられなかったが、リフト導入後は私一人で乗せることができ子どもと過ごすことに心配がなくなった。ヘルパーにリフトの使い方を教えて私が外出できるようにもなった。」と話された。見学をもとにリフト使用例の小冊子を作成して誰でも閲覧できるよう当リハ室の待合いに置くことにした。小冊子を置くことは2家族から同意を得た。また、当リハスタッフは、家族からリフト導入の要望があった際に個々に応じた使用方法や注意点を正確に伝えられるようリフト使用の実技研修を行った。 まとめ リフト使用例の小冊子を作成し情報提供を行った。福祉用具の使用状況に関する先行研究では、親が使用に消極的な理由のひとつに「情報不足」が挙げられており、今回の取り組みがリフト導入の一助となればよいと考える。また、同研究では「誰にも相談せずに購入した」との報告もある。福祉用具の提供には、専門職の視点で当事者の身体状況や家屋環境を評価し個々に応じて適切に提供することが必要であるため、今後もこうした支援を続け、家族の介護負担軽減と当事者・家族のQOL向上に寄与していきたい。

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