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the variation of shipment volume for sweet cherry in yamagata and the influence of weather condition during the blooming season
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- Kamii Sachie
- Graduate Student,Nihon Univ.
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- Morishima Wataru
- Nihon Univ.
Bibliographic Information
- Other Title
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- <b>山形県におけるオウトウの収量変動と開花期間の天候による影響</b>
Description
はじめに<br> 本研究では,オウトウ収量とそれに影響を与える気象要素との関係性を明らかにすることを目的としている.前回行った山形盆地を対象とした過去40年間の分析では,オウトウの収量に影響を与えるとされる結実不良に着目した.オウトウは虫媒花であるため,訪花昆虫の活動が重要となる.そこで,オウトウ栽培において訪花昆虫として用いられているセイヨウミツバチの活動時間(以下,訪花活動時間)を結実不良の指標とし,収穫量との関係性を検討した.その結果,ある時代ごとに区切った場合に限り両者の間に正の相関関係が成立した.この理由としては,栽培品種や技術の変化に伴い単位面積当たりの収穫量自体が減少したことが考える.各年代において訪花活動時間と収穫量の関係性は異なるが,どの年代にいても正相関がみられたため,開花期間の気温がセイヨウミツバチの活動を介し結実の良し悪しを左右し,収穫量に大きな影響をもたらすことが示唆された.<br> 山形盆地は南北に約67kmにわたり,果樹園分布の標高差は約800mである.したがって前回の研究では,栽培地毎の標高や緯度の違いによって生じる開花期間の気温差を加味した山形盆地の平均的な訪花活動時間を求めた.しかしながら,より実態にそくした評価を行うには開花期間自体の違いも考慮する必要がある.そこで,今回は栽培地毎に開花期間を求め訪花活動時間を推定し,再度収穫量との関係性を検討した.<br>方法<br> オウトウには複数の栽培品種があるが,最も多く栽培されている佐藤錦の開花期間を推定する.開花時期は,開花予測式を用いることで,果樹園が含まれるその他の農用地メッシュ(100m)毎に開花日を特定することが可能である.しかし,オウトウの開花予測モデルは存在しないため,ソメイヨシノの開花予測モデルを利用する.山形地方気象台(山形市)で観測されたソメイヨシノの開花日と,山形県農業総合研究センター(寒河江市)で観測された佐藤錦の開花日は強い正の相関関係(r=0.89)にあることから,算出されたソメイヨシノの開花日から佐藤錦の開花日を推定することが可能であると考えた.<br> ソメイヨシノの開花予測モデルはいくつか存在するが,過去の開花日のデータを必要としない青野・守屋(2003)の予測モデルを用いた.このモデルは全国一律の平均積算値23.8(DTSm)と推定起算日(Dme)を温度変換日数法(DTS法)に適用したものである(以下,青野モデル).1,2,3,月の平均気温と日平均気温は盆地内外のアメダスの値をもとに気温を南北500mおきに内挿し,さらに逓減率を用いてメッシュ毎の気温を求めた.このようにして求めたそれぞれの値を式に代入し,メッシュ毎のソメイヨシノの開花日を求めた.ただし,オウトウ栽培地に関する地図がないため,土地利用細分メッシュの果樹園が含まれるその他の農用地メッシュを用いた.<br> 次に,算出したソメイヨシノの開花日から佐藤錦の開花日を推定するため,アメダス東根の実測値を用いて求めたソメイヨシノの開花日と,その付近で観測された佐藤錦の開花日を比較した.両者は正の相関関係(r=0.86)にあり,回帰式はy=x+6.7652であった.この式を用いで佐藤錦の開花日を推定し,さらに開花日数はどのメッシュにおいても同様であると仮定して,推定開花日に山形県農業総合研究センター(寒河江市)で観測された開花日数を足し,最後に平均二乗推定誤差(2.822)を考慮し開花期間の前後に3日の含みを持たせることで,最終的なメッシュごとの佐藤錦開花期間とした.このようにして求めたメッシュ毎の開花期間において,前回と同じように訪花活動時間を求め,単位面積当たりの収穫量(以下,単収)と比較した.<br>結果<br> 前回と同様に,過去40年を通しては有意な関係性はみられなかったが,年代ごとに区切ることで訪花活動時間と単収との間に正の相関関係が成立した.前回の分析結果では,単収が多いにも関わらず訪花活動時間が少ない年がいくつか存在したが,今回の分析ではそのような年は殆どみられなかった.年代ごとの相関係数をみても,1984 ~ 1993年(r=0.626),1994 ~2005年(r=0.663),2006~2015年(r=0.626)とどの年代も前回の結果と比較して相関係数が高くなった.これは,開花期間をメッシュ毎に設定することで,開花が比較的遅いと考えられる標高が高いところや高緯度側の栽培地における訪花活動時間が反映され,より実態にそくした値が算出できたためだと考えられる.
Journal
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- Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers
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Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2019s (0), 154-, 2019
The Association of Japanese Geographers
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288143463296
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- NII Article ID
- 130007628440
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed