O-1-A14 病院における医療型特定短期入所の取り組み

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抄録

当院ではかかりつけ重症心身障害児者(以下、重症児者)の医療的ケアが増え、重症化してきたことを契機に管理方法として特定医療型短期入所を選択した。病棟での日中あずかりを中心に小児科病床の空床時を利用する形態をとり、2015年11月から開始している。2016年の重障学会において開設までの経過を報告したが、実際に運営を始めてみると利用者の当施設の使いにくさを中心にいくつかの困難があり、この間に改善してきた点と今後の課題を報告する。 当院の診療圏である川崎市南部は近隣の市街地の中でも特に人口密集地域であり、居住環境も良いとは言い難い。そのため医療的ケアの重い方が利用するまでのアクセスに大きな問題が生じた。郊外のように送迎できる車両を持っている家庭も少なく、重症児者が利用できるような送迎サービスもないことから、利用はしたいが行く足がないという声が聞かれた。定期的に利用するのは、たまたま病院の徒歩圏内に住む重症者の方だけという状況が続き、運営の先行きが危ぶまれた。自施設での送迎の可能性を追求していたときにタイミング良く、病院での透析管理患者や訪問診療患者の入院時に自施設での送迎を行うという事業計画が上がってきたためそれに便乗する形で重症児者の送迎も2017年の5月より始まることとなった。それ以降では定期的に利用する方が増えている。 利用者が増えてくる一方で、あずかりを病棟の空床を利用して行っていたため病棟が慢性的に空いている時期はよいが、入院患者が増えてくると利用者を定期的に病棟で管理することが今後、難しくなることが予想される。病棟の空床を利用したあずかりから院内の外来フロアを利用したあずかりへの変更を今後予定している。その他にも病院内の人員体制の影響で医療ケアを扱えるスタッフの確保を計画的に行っていかないと対応が難しくなる危機感もあり、課題は山積だが地域での重症児者の在宅生活が安定するように努めていきたい。

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