河川砂防技術基準に対する裁量統制――公共事業の技術的合理性の研究――

書誌事項

タイトル別名
  • Control of discretion for the technical standard of river erosion control: Research of the rationality of technique on public works
  • カセン サボウ ギジュツ キジュン ニ タイスル サイリョウ トウセイ : コウキョウ ジギョウ ノ ギジュツテキ ゴウリセイ ノ ケンキュウ

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説明

<p>技術基準は公共事業の合理性を判断する基準となる。本稿で検討する技術基準は,建設省河川局『改訂新版 河川砂防技術基準(案)同解説・計画編』(山海堂,1998)(以下,『河川砂防技術基準(案)』という。)である。ダム事件などで争点となった「引き伸ばし率」,「基本高水」,「治水効果」などは,具体的な数値や計算方法などの考え方を『河川砂防技術基準(案)』で定められている。裁判例を検討したところ,次の5つの問題があった。①粗度係数の決定には合理的な理由がない。②引き伸ばし率の考え方には理論的な矛盾がある。③基本高水量は,既往最大洪水量と乖離している。④治水効果量は実績洪水と乖離している。⑤同一ダムの裁判例で示された治水効果量には2倍以上の違いがある。『河川砂防技術基準(案)』は,新しい研究成果などを取り入れて実績値との乖離が少なくなるように改正されるべきであり,新しい研究成果などを取り入れるための手続を定める必要がある。裁判所は『河川砂防技術基準(案)』を適用した結果が実績洪水と乖離していないか否かに関して審査を行うべきであると考える。</p>

収録刊行物

  • 公共政策研究

    公共政策研究 13 (0), 104-113, 2013-12-20

    日本公共政策学会

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