P-086 肺内パーカッションベンチレーター、排痰補助装置を導入し気管切開孔を閉鎖できた高位頚髄損傷の症例

DOI
  • 米山 静香
    鹿教湯三才山リハビリテーションセンター 三才山病院
  • 山崎 忍
    鹿教湯三才山リハビリテーションセンター 三才山病院
  • 泉 從道
    鹿教湯三才山リハビリテーションセンター 三才山病院

抄録

<p>【はじめに】</p><p>今回、高位頚髄損傷受傷後に気管切開術が行われた症例に対し肺内パーカッションベンチレーター( 以下IPV Ⓡ)、排痰補助装置カフアシストE70 Ⓡ(以下E70 Ⓡ)を導入し、自己排痰が可能となり気管切開孔閉鎖に至ったので報告する。</p><p>【症例紹介】</p><p>57 歳、男性。診断名:頚髄損傷(第4 頚椎前方脱臼)。現病歴:交通事故にて受傷しC4/5 後方固定術を施行。第2 病日に気管切開下陽圧換気療法が開始され、第19 病日に離脱。第23 病日に回復期リハビリテーション目的で当院へ転院。本研究は患者より文章にて同意を得て、当院学術研究倫理審査委員会に承認を得た。利益相反はない。</p><p>【初期評価】</p><p>Zancolli の分類:右C6 A、左C6B1、ASIA 分類:C、呼吸機能:気管切開カニューレ(高研レティナⓇ)留置。肺活量( 以下VC):1390mL、最大呼気流速( 以下CPF):110L/ 分。痰は黄色で粘稠度が高く自己排痰が困難。気管切開孔からの吸引を</p><p>1 時間に1 回行っていた。FIM:運動13 点、認知34 点、合計47 点。</p><p>【介入と経過】</p><p>入院時より徒手による咳介助訓練を実施し、訓練中の自己排痰が可能。第57 病日に気管支肺炎を併発。排痰目的にIPV Ⓡを開始。第140 病日、VC:2070 mL、CPF:125L/ 分。気管支肺炎が軽快して痰の粘稠度が低下し、自己排痰頻度が増加。</p><p>第147 病日にIPV Ⓡを終了し、E70 Ⓡを導入。第175 病日には気管切開孔からの吸引は2-3 日に1 回へ減少し、自己排痰が可能となった。第195 病日にVC:2200 mL、CPF:125L/ 分となり、気管切開カニューレを抜去し、気管切開孔は自然閉鎖。</p><p>【考察】</p><p>高位脊髄損傷患者は、急性期では副交感神経優位となり気道分泌物が増加しやすい。本症例は呼吸筋麻痺を生じ咳嗽力が低下し、加えて気管支肺炎を併発し自己排痰が困難となった。IPV Ⓡを導入し痰の粘稠度を低下させ、その後のE70 Ⓡの導入により自己排痰が可能になった。気管切開閉鎖後は気管カニューレによる刺激が消失することで痰も減少し、本人のストレスも軽減された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288145165568
  • NII論文ID
    130007623539
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.36.0_186
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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