P-143 腰部脊柱管狭窄症により下垂足を生じた症例に対する運動療法の一考察
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説明
<p>【目的】</p><p>腰部脊柱管狭窄症の脊髄根症状に対する運動療法として、電気刺激療法、装具療法、温熱療法など様々な手法がとられている。</p><p>しかし、脊髄の神経機構を考えた治療アプローチは散見される程度に過ぎない。今回、脊髄根症状による前脛骨筋の筋力低下に対し、拮抗する下腿三頭筋の筋活動に着目した運動療法を実施した。考察を加え以下に報告する。</p><p>【症例紹介】</p><p>80 代女性。腰部脊柱管狭窄症の診断のもと腰椎固定術(L3/4 のTLIF,PPS)施行。</p><p>【方法】</p><p>2016 年度当院入院中の腰部脊柱管狭窄症により下垂足を生じた患者を対象に歩行機能の獲得を目的とした運動療法を実施した。運動療法は通常行われる前脛骨筋の筋活動の促通に加え、相反関係にある拮抗筋の下腿三頭筋の筋収縮に着目した遠心性筋活動のトレーニングを実施した。一回40 分の治療前後の歩行速度、歩幅、歩行率のVTR による評価、筋収縮の肉眼的観察を行った。なお、ヘルシンキ宣言に基づいた説明を十分に行い、書面にて同意を得た。</p><p>【結果】</p><p>治療前歩行速度0.72m/ 秒、歩幅36.0 cm、歩行率2.00 歩/ 秒。MMT 前脛骨筋2。治療後歩行速度0.83 m / 秒、歩幅</p><p>41.6 cm、歩行率2.00 歩/ 秒。MMT 前脛骨筋2。介入前は前足部接地であったものが、介入後は足関節の背屈がおこり踵接地が見られるようになった。また、観察として治療前下腿三頭筋に見られていた不随意的な筋収縮はなくなり、遠心的な筋収縮が行えるようになった。</p><p>【考察】</p><p>今回観察により下腿三頭筋の不随意的筋収縮が見られ、安静臥位においても足関節・足部の不随意運動が認められた。下腿三頭筋の筋活動が過度に増加した結果、足関節の背屈に必要な前脛骨筋の筋活動を妨げていたと考えられる。</p><p>【まとめ】</p><p>下垂足を生じた一症例の治療経験から相反関係にある拮抗筋の活動にも着目した理学療法プランの重要性が考えられる。</p>
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 36 (0), 243-243, 2017
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288145176832
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- NII論文ID
- 130007623693
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可