政策終了と政策評価制度

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タイトル別名
  • Policy termination and policy evaluation system
  • セイサク シュウリョウ ト セイサク ヒョウカ セイド

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抄録

<p>政策終了研究は日本では研究者が少なく,また事実関係が錯綜しているため容易に取り組めない分野である。ただアメリカの政治学・行政学において1970年代後半に議論されはじめ,1980年代に雑誌の特集や書籍が見られるようになったので,日本でも限定的にではあるが研究者と実務家には知られていた。また1990年代未になって試みられた公共事業再評価(建設省・農林水産省・運輸省などの公共事業官庁と都道府県)や北海道庁の「時のアセスメント」は,政策終了の動きが日本でも始まったと予感させた。</p><p>もっとも疑問は残っている。すなわち政策終了は政策そのものの終了なのか,それとも政策を構成するプログラムの終了なのか。あるいは公共事業再評価や時のアセスメントのような,事業の終了なのか。また,どのような方法で行われた評価が終了の判断を導くのか。そもそも政策終了はあるのか。実はこれらの疑問を考える手がかりは,政策評価制度が導入される以前の日本では不十分であった。政策評価の研究はあったものの,その具体的方法や実践の経験は少なかったからである。あるいは選挙で公約(マニフェスト)を掲げることは少なく,選挙後の新政権による前政権の政策の見直し,終了,廃止もまた行われていなかったため,一部研究者による知的好奇心から研究されるレベルに政策終了「論」はとどまっていた。</p><p>しかし,2001年の政策評価の法制度化,2009年夏の政権交代と事業仕分け,「3.11」と福島原発事故の経験は再度,政策終了(政策変更)の議論を実践課題として再登場させた。政策終了は実践においても研究においても,喫緊のテーマになっていたのである。もちろん,政策終了に使用できる政策評価とは何かをめぐる理論を構築する責務も,政策の研究者に課せられている。</p>

収録刊行物

  • 公共政策研究

    公共政策研究 12 (0), 61-73, 2012-12-17

    日本公共政策学会

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