CTで異常所見を認めず1,3-β-Dグルカン上昇と気管支肺胞洗浄液中の菌体確認より診断したニューモシスチス肺炎の1例

  • 槇 陽平
    防衛医科大学校内科学講座(感染症・呼吸器)
  • 藤倉 雄二
    防衛医科大学校内科学講座(感染症・呼吸器)
  • 佐々木 寿
    防衛医科大学校内科学講座(感染症・呼吸器)
  • 濱川 侑介
    防衛医科大学校内科学講座(感染症・呼吸器)
  • 田上 陽一
    防衛医科大学校内科学講座(感染症・呼吸器)
  • 林 伸好
    防衛医科大学校内科学講座(感染症・呼吸器)
  • 川名 明彦
    防衛医科大学校内科学講座(感染症・呼吸器)

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of <i>Pneumocystis</i> Pneumonia Diagnosed by Elevation of Serum 1,3-beta-D-glucan and Demonstration of a Cyst in Bronchoalveolar Lavage Fluid Despite No Abnormal CT Findings

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説明

<p>背景.ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia:PCP)は免疫能低下時に発症するが,しばしばコロナイゼーションとの鑑別が困難となることがある.発熱・乾性咳嗽・呼吸困難の症状と,気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:BALF)中の菌体の証明がPCP発症の診断根拠となり,血清1,3-β-Dグルカン(1,3-beta-D-glucan:BDG)値の上昇も血清学的診断根拠として有用である.胸部X線およびCTでは,すりガラス様陰影や浸潤影を呈することが一般的である.症例.29歳男性.発熱と乾性咳嗽を主訴に来院.ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)スクリーニング陽性で,CD4陽性Tリンパ球数は197/μlであった.低酸素血症はなく,胸部X線およびCTでも異常所見を認めなかったが,血清BDG値の上昇を認め,BALF中にPneumocystis jirovecii囊子を認めたことから,PCPと診断した.ペンタミジンなどの治療により症状は消失し,血清BDG値は改善した.結論.画像検査で異常を認めなくとも,免疫能が低下しており,症状および血清BDG値上昇を認める場合には,気管支肺胞洗浄はPCPの診断に有用であると考えられる.</p>

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 41 (3), 284-288, 2019-05-25

    日本呼吸器内視鏡学会

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