日本における高齢者歯科保健施策の動向と今後の展望

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  • Recent measures in geriatric oral health care in Japan

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抄録

<p>高齢化が著しい日本において,歯科口腔保健施策は大きな変容を遂げている.これまで,高齢期の歯科保健対策において,最も重要視されていた目標は現在歯数の増加であった.しかし,歯科保健対策の進展に伴い,現在歯数の増加だけではなく,口腔機能の維持・向上を図り,健全な摂食を維持することが新たな口腔保健の目標になりつつある.健康寿命の延伸を図るうえで,高齢期のフレイル対策は必須の要件であり,複合的な対応策を取る必要がある.生理的老化に伴い,健康な高齢者であっても口腔機能の低下が認められることが多い.このような口腔機能の低下は,低栄養やサルコペニアを引き起こす重大なリスク要因となる.日本で提唱された新しい概念である「オーラルフレイル」は,超高齢社会に突入した日本における今後の歯科保健対策に多くの示唆を与えるものである.円滑な咀嚼や嚥下がもたらす健康な食生活は,身体的健康の維持・向上のための基盤的な条件であるため,オーラルフレイル対策は,地域在住高齢者に対する低栄養対策と密接な関連を有する.また,これらの日本の知見は,高齢化が今後大きく進展するアジア各国でも有用な示唆を与えるものと考えられる.そこで,本稿では日本における高齢者歯科保健対策とオーラルフレイル対策の現状と今後の課題について概説する.</p>

収録刊行物

  • 保健医療科学

    保健医療科学 68 (1), 8-16, 2019-02-28

    国立保健医療科学院

被引用文献 (1)*注記

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