頭蓋咽頭腫に高次脳機能障害を合併し,両耳側半盲の予測に光干渉断層計が 有用であった小児の1例

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  • Optical Coherence Tomography in a Child for Detection of Bitemporal Hemianopia Due to Craniopharyngioma

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説明

<p> 頭蓋咽頭腫術後の視野予測に光干渉断層計(OCT)が有用であった小児の1例を経験したので報告する.症例は3歳の男児で,発育や発達異常の既往歴はなかった.現病歴は2日前から視線が合わず,活動性が低下したことを主訴に近医脳外科を受診した.頭部画像検査で腫瘍性病変がみられたため,精査・加療目的で当院紹介受診となった.当科初診時所見は,視力は右眼:光覚弁(+),左眼:光覚弁(±),眼前の視標に対する追視はなかった.前眼部・中間透光体に明らかな異常はなかったが,閉瞼が強く眼底評価はできなかった.頭部MRIでトルコ鞍内から鞍上部にかけての嚢胞性病変による視交叉の圧排がみられ,頭蓋咽頭腫と診断された.両側前頭開頭術および開頭腫瘍摘出術が施行され,視交叉圧排は解除された.定期的に視野検査を試みるも注意や多動,集中力の問題から正確な検査が困難で,その後,高次脳機能障害と診断された.術後2年におけるOCTの網膜内層解析では両耳側半盲を示唆する両鼻側領域の菲薄化がみられたが,視野検査で正確な両耳側半盲を検出できたのは術後5年であった.視野検査の実施が困難な高次脳機能障害を伴う小児において,OCTによる網膜内層解析は視交叉部障害に伴う両耳側半盲の予測に有用と考えられる.</p>

収録刊行物

  • 神経眼科

    神経眼科 36 (2), 191-198, 2019-06-25

    日本神経眼科学会

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