血管内皮細胞におけるカドミウムと他の重金属の相互作用
書誌事項
- タイトル別名
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- Interaction between cadmium and other heavy metals in vascular endothelial cells
抄録
<p>動脈硬化症は,日本の全死因の死亡数の上位を占めている心血管疾患の基礎病変のひとつである。動脈硬化病変は炎症性疾患であり,その発症と進展は血管の内腔を一層に覆っている血管内皮細胞の機能異常による。内皮細胞は血液と直接接している唯一のcell typeであるので,吸収され血液中に移行したあらゆる化学物質に曝露され得る環境にある。そのため,重金属は内皮細胞に対して毒性を発現して動脈硬化病変を進展させると考えられる。カドミウムは現在も食品を汚染している重金属であり,日本人は耐容週間摂取量の約4割に相当する平均2.9 μg/kg体重/週のカドミウムを摂取している。カドミウムは心血管疾患の発症と進展の危険因子でもあるので,これまでに培養細胞を用いてカドミウムの内皮細胞毒性の分子機構を明らかにしてきた。一方,食品および環境中には亜鉛,マンガンおよび鉛など様々な重金属が共存している。他の重金属との相互作用によるカドミウムの細胞毒性の修飾は,カドミウムによる血管病変の発症と進展をより現実的に理解するために重要であるが,重金属同士の相互作用に関する報告は少ない。これまで,亜鉛はカドミウムの細胞内蓄積を抑制することにより,メタロチオネイン誘導非依存的にカドミウムの細胞毒性を軽減することを明らかにした。また,マンガンはメタロチオネイン誘導およびカドミウムの細胞内蓄積に依存することなく,カドミウムの細胞毒性を軽減した。鉛はカドミウムとの相互作用により細胞毒性が増強され,その機構は小胞体ストレスに対する内皮細胞の防御応答の脆弱化によることを示した。これらの結果は,カドミウムの内皮細胞毒性は他の重金属の相互作用により修飾されることを示している。本シンポジウムでは,カドミウムの内皮細胞毒性に対するマンガンおよび鉛の相互作用について新しい知見を紹介するとともに,古くて新しい重金属の相互作用について議論したい。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 46.1 (0), W8-3-, 2019
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288152395776
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- NII論文ID
- 130007677619
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可