トランスポーター発現細胞株を用いた腎毒性物質の早期スクリーニング
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- 檜杖 昌則
- ファイザー 非臨床開発研究部
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- Shuyan LU
- ファイザー ラホヤ研究所
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- Tae SUNG
- ファイザー ラホヤ研究所
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- Manthena VARMA
- ファイザー グロトン研究所
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- Yvonne WILL
- ファイザー グロトン研究所
書誌事項
- タイトル別名
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- Early screening for nephrotoxicity employing transporter over expression cell lines
抄録
<p>【目的】トランスポーター(TP)は様々な生理的に重要な役割を担うとともに,能動的取込みで細胞内への薬物の蓄積を促進することにより毒性発現にも関係する。腎臓の近位尿細管毒性を示す多くの薬物は親水性であるが,近位尿細管では側底膜および刷子縁膜上に複数の薬物TPが存在しこれらのTPを介した能動的取込みが膜透過性の低い薬物の細胞内蓄積を促進することにより毒性を発現すると考えられている。しかしながら,in vitroの毒性研究で一般的に用いられる細胞はTPの発現が十分ではなく,毒性評価において偽陰性の結果をもたらす可能性が考えられる。本研究では,HEK293細胞にOAT1,OAT3およびOCT2を過剰発現させ,腎毒性物質の予測性が改善されるかを検討した。</p><p>【方法・結果】各TP発現細胞に,OAT1およびOAT3の基質としてCidofovirとテノホビルを,OCT2の基質としてシスプラチンを添加し,インピーダンス測定により細胞毒性を評価した。Cidofovirおよびテノホビル添加に対し,親細胞株では影響はみられなかった。一方,OAT1またはOAT3発現細胞では細胞毒性が認められ,みられた毒性はOAT1発現細胞でより強くこの結果は薬物取り込み活性と関連した(OAT1発現細胞の取込み活性はOAT3発現細胞より高かった)。また,シスプラチンを用いたOCT2発現細胞での検討でも同様の結果が示された。プロベネシドによるOAT1またはOAT3の阻害およびキニジンによるOCT1阻害が各発現細胞での毒性を減弱したことから,各薬剤の細胞内蓄積が毒性発現に関連することが示唆された。また,ハイコンテントスクリーニングでOAT1発現細胞におけるCidofovirおよびテノホビルの毒性をさらに検討した。</p><p>【結論】TPを過剰発現させた細胞株は毒性機序検討およびスクリーニングツールとして有用である可能性が示唆された。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 46.1 (0), P-128-, 2019
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001288152628224
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- NII論文ID
- 130007677302
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可