アメリカ傷害保険事故論の混迷と傷害保険の事故概念⑴

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  • アメリカ ショウガイ ホケン ジコロン ノ コンメイ ト ショウガイ ホケン ノ ジコ ガイネン(1)

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抄録

<p> アメリカでは傷害保険契約上,保険金支払の対象は,「偶然の手段(accidental means) により生じた人身傷害」とされていた時期が長かった(ちょうどわが国の「偶然な…事故により身体に傷害を被ること」という要件とパラレルのようにも見える)。この偶然の手段について,一方の見解は「事故」そのものとは異なる概念であり,傷害保険の保険事故認定において独立して分析すべき要素と捉えるが,他方で偶然の手段を事故自体と同視する見解がある。そしてアメリカにおけるこの理論的対立は,傷害保険の保険事故概念の本質にかかわる大きな論争を巻き起こしてきた。さらにこの論争は,被保険者の疾病・身体的虚弱性と絡んだ傷害保険の最大の難問に展開する可能性を持つ。本稿は,傷害保険の黎明期から続いたこの問題を,具体的事案の解決にあたった判例を詳細に見ることによって検討するものである。それにより,わが国の傷害保険の法構造について検討する場合にも応用できる何らかの示唆を引き出したい。</p>

収録刊行物

  • 損害保険研究

    損害保険研究 76 (4), 31-63, 2015-02-25

    公益財団法人 損害保険事業総合研究所

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