トロンビン試薬の原材料変更によるフィブリノゲン測定への影響の検証

DOI オープンアクセス
  • 井上 結以
    名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
  • 鈴木 敦夫
    名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
  • 亀山 なつみ
    名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
  • 前田 奈弥
    名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
  • 山本 ゆか子
    名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
  • 菊地 良介
    名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
  • 安藤 善孝
    名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門
  • 松下 正
    名古屋大学医学部附属病院検査部・輸血部

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of thrombin reagent in Clauss fibrinogen assay: Switching from human-origin thrombin to bovine-origin thrombin

この論文をさがす

抄録

<p>血中フィブリノゲンの測定にはトロンビン時間法(Clauss法)が広く用いられている。今回,当院で使用しているトロンビン試薬の原材料がヒト由来からウシ由来トロンビンに変更されることに伴い,その影響について検証した。対象試薬はトロンボチェックFib(L)(シスメックス)で,ヒト由来トロンビンを使用したロットとウシ由来トロンビンを使用したロットを比較した。全自動血液凝固測定装置CS-5100(シスメックス)を使用し,同時再現性・日差再現性・高値希釈直線性・最小検出感度・材料間相関性・共存物質の影響について検討した。なお,本研究は名古屋大学医学部生命倫理審査委員会の承認を得て施行した。同時再現性,日差再現性,高値希釈直線性および最小検出感度は,ヒト由来とウシ由来で両者の間に大きな差は認めなかった。材料間の測定値における相関性(ヒト由来:x,ウシ由来:y)は,y = 0.9839x + 9.644(相関係数r = 0.9981)であった。両者ともに共存物質(溶血,ビリルビン,乳び)による明らかな影響も認めなかった。以上の結果より,試薬性能とその測定値において,ヒト由来トロンビンとウシ由来トロンビンの間に大きな差はなく,原材料切り替えの影響はほとんどないことが示唆された。今後,抗凝固薬との反応性やフィブリノゲン異常症における影響を検証予定である。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 68 (3), 494-500, 2019-07-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ