がん化学療法に伴う腫瘍崩壊症候群と急性尿酸性腎症に関する後方視的アンケート調査研究

  • 大岩 加奈
    福井大学医学部 血液・腫瘍内科 北陸造血器腫瘍研究会
  • 山内 高弘
    福井大学医学部 血液・腫瘍内科 北陸造血器腫瘍研究会
  • 細谷 龍男
    東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科
  • 上田 孝典
    福井大学医学部 血液・腫瘍内科 北陸造血器腫瘍研究会

書誌事項

タイトル別名
  • Retrospective Survey of Tumor Lysis Syndrome and Acute Uric Acid Nephropathy Associated with Cancer Chemotherapy.

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説明

がん化学療法では多くの新規薬剤が開発され治療成績は向上してきた.しかし抗腫瘍効果が強化されることで腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome, TLS)の発症リスクは上昇し,TLS病態の中心である高尿酸血症,腎機能障害を生じる危険性は増加していると推測される.本邦では2013年にTLS診療ガイダンスが発刊され,さらにTLSにおける高尿酸血症に対していくつかの新規尿酸降下薬が導入されているが,TLS発症リスク,尿酸降下薬の選択,投与量などの点から日常診療におけるTLSのマネジメントはいまだ至適化されていない.そこで,北陸造血器腫瘍研究会に参加している富山,石川,福井3県の血液および腫瘍専門医55名を対象にアンケートを行い,がん化学療法におけるTLSマネジメントおよびTLSに伴う急性尿酸性腎症の現状を調査した.アンケートの回答を得た38名(69%)が担当した患者612例のうち,13例でTLSを発症した.そのうち急性尿酸性腎症を発症した症例は6例で,うち3例はTLS低リスクに分類される疾患で新規抗がん薬が使用されていた.また67.5%の医師が,TLS低リスク疾患に対しても予防的に尿酸降下療法を行うと回答しており,TLSの発症予測が困難となっていることに起因していると考えられた.新規抗がん薬が使用可能となり,疾患ごとによるリスク分類だけでなく,治療内容を考慮した新たなリスク分類を検討する必要があると考えられた.

収録刊行物

  • 痛風と尿酸・核酸

    痛風と尿酸・核酸 43 (1), 77-78, 2019-07-25

    一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会

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