虚血性大腸炎を契機に発見された大腸癌の3 症例

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  • Three Cases Of Colonic Cancer With Ischemic Colitis

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抄録

【症例1】58 歳女性。平成20 年2 月に便秘、左腹部痛を自覚し、その後下血が出現し当科入院となった。翌日の大腸内視鏡検査にて下行結腸に縦走潰瘍と浮腫状、発赤調の粘膜所見を認め、虚血性大腸炎と診断した。その肛門側の直腸S 状部(以下Rs)に2 型大腸癌を認めた。虚血性大腸炎の軽快後、低位前方切除術を施行した。【症例2】70 歳男性。平成20 年2 月に鮮血の下血を認め当科入院となった。入院3 日後、大腸内視鏡検査にて下行結腸からS 状結腸粘膜に浮腫状で発赤、びらんを伴う縦走潰瘍認め、虚血性大腸炎と診断した。その肛門側のS 状結腸に2 型大腸癌を認めた。虚血性大腸炎の軽快後、S 状結腸切除術を施行した。【症例3】41 歳女性。平成20 年8 月に下腹部痛と嘔気にて当院救急外来受診し、感染性腸炎と診断され投薬加療をうけたが、翌日水様性下痢と下血を認め入院となった。入院5 日目の大腸内視鏡検査にて下行結腸粘膜は浮腫状で発赤、びらんを伴う縦走潰瘍を認め虚血性大腸炎と診断した。その肛門側のS 状結腸に2 型大腸癌を認めた。また肝転移巣もあり、虚血性大腸炎の軽快後、S 状結腸切除術と肝部分切除術を施行した。虚血性大腸炎を契機に発見された大腸癌を3 症例経験した。臨床的に虚血性大腸炎を疑った場合は積極的に大腸内視鏡検査を行い、虚血性大腸炎の肛門側の大腸癌の有無についての検索が必要であると思われた。

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