プランク衛星による宇宙マイクロ波背景放射温度異方性の最新観測結果(<小特集>宇宙マイクロ波背景放射の新展開)

書誌事項

タイトル別名
  • Results on Temperature Anisotropy of the Cosmic Microwave Background from the Planck Satellite(New Developments in Cosmic Microwave Background)
  • プランク衛星による宇宙マイクロ波背景放射温度異方性の最新観測結果
  • プランク エイセイ ニ ヨル ウチュウ マイクロハ ハイケイ ホウシャ オンド イホウセイ ノ サイシン カンソク ケッカ

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抄録

2013年3月21日,世界中の宇宙論研究者が待ち望んでいた,プランク衛星による初年度の測定結果が発表された.プランク衛星は波長0.35ミリから1センチに渡る幅広い波長帯を9つに区切り,それぞれの波長区分におけるマイクロ波の強度を全天に渡って測定した.これらのマイクロ波には「火の玉宇宙の残光」宇宙マイクロ波背景放射が含まれており,宇宙初期の物理を観測的に解明できる.プランク衛星から得られた温度異方性の観測データとWMAP衛星から得られた偏光のデータより,見込み角度が小さくなるほど原始曲率揺らぎの振幅が減少する事が発見された.これはインフレーション理論が予言する通りである.これにより,我々が住む宇宙は誕生直後急激な加速膨張を行い,その際に生成された時空の量子揺らぎによって宇宙を満たす物質の分布に不均一性が生じ,その不均一性から銀河や銀河団などの宇宙の構造が形成されたという仮説が有力となった.

収録刊行物

  • 日本物理学会誌

    日本物理学会誌 69 (10), 681-690, 2014-10-05

    一般社団法人 日本物理学会

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