地域医院の糖尿病患者に対する多職種チームでの指導介入により適切な療養行動と腎機能の改善が得られた一症例

説明

<p>【背景】糖尿病の患者指導は言うまでもなく重要である。しかし初病期や初診時の糖尿病患者は地域医院で十分な運動療法の指導を受けれていないのが現状と考える。そのような中、当院では地域医院へ生活習慣病チームで訪問し個別指導を行っている。今回、適切な療養行動と腎機能の改善が得られた症例を経験したので報告する。</p><p> </p><p>【症例】40歳代前半の男性、診断は2型糖尿病。指導時の所見としてBMI23.7、三大合併症はいずれも認め、網膜症は眼科フォローされていた。投薬はSU剤が処方。糖尿病歴は6年以上と推察。今回の指導介入の約10カ月前より足趾が膿んできたと受診。この時、糖尿病の診断を受け治療開始となり、血糖コントロールと減量を治療目標として加療を受けていた。初診時から半年間の経過は、体重80㎏から67㎏と減量され、HbA1Cは10.8%から5.1%と改善。しかし、eGFRは72.2から55.0と悪化していた。今回の急激な減量が正しい方法かの精査を含め依頼を受け、指導介入となった。</p><p> </p><p>【結果】チームで協議し、低炭水化物による減量を疑い、各職種がそれを念頭に問診と指導を行った。結果、低炭水化物による減量を行っており、運動療法は高強度の筋力トレーニングと10000万歩/day以上の活動量であった。そこで、治療目標を血糖コントロールと腎保護に切り替え指導した。そして、運動療法は筋力トレーニングの強度軽減を中心に提案した。指導翌月の血液検査ではHbA1C5.1%、eGFR68.0と血糖値の悪化なく腎機能の改善を認めた。</p><p> </p><p>【考察】糖尿病専門医、一般内科医に関わらず、運動療法指導は十分でないことが報告されており、その原因に指導者の不在や指導時間の不足などが挙げられている。地域医院における適切な運動療法指導は病期の進行抑制やQOL改善に有効と考えられ、専門職による指導の必要性が示唆された。</p><p> </p><p>【説明と同意】本症例に関する報告はヘルシンキ宣言に準じた内容を書面にて説明し、署名による同意を得ている。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-122_1-A-122_1, 2019

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288157359104
  • NII論文ID
    130007692452
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-122_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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