軽症脳梗塞患者に対するセルフ・モニタリングの指導が退院後の身体活動量に与える影響

  • 金居 督之
    伊丹恒生脳神経外科病院リハビリテーション部 神戸大学大学院保健学研究科 Cardiovascular stroke renal project (CRP)
  • 井澤 和大
    神戸大学大学院保健学研究科 Cardiovascular stroke renal project (CRP)
  • 小林 実希
    伊丹恒生脳神経外科病院リハビリテーション部
  • 大西 晶
    伊丹恒生脳神経外科病院リハビリテーション部
  • 久保 宏紀
    伊丹恒生脳神経外科病院リハビリテーション部
  • 野添 匡史
    甲南女子大学看護リハビリテーション学部
  • 間瀬 教史
    甲南女子大学看護リハビリテーション学部
  • 島田 真一
    伊丹恒生脳神経外科病院脳神経外科

Description

<p>【はじめに、目的】</p><p>近年、脳梗塞患者の再発予防に向けた身体活動の促進が注目されている。しかし、脳梗塞患者の多くは、退院後に不活動や座りすぎとなる傾向にある。また、脳梗塞患者への退院後の身体活動や運動に関する個人指導は、運動機能の向上や再発予防への効果が少ないことが示されている。そのため、これら患者に対しては、発症後早期からの身体活動の促進や再発予防に関する教育的介入が望まれる。先行研究において我々は、軽症脳梗塞患者に対してセルフ・モニタリングを指導することにより、入院中の身体活動量が増加することを報告した(Kanai et al., 2018)。しかし、その長期効果については不明である。一方、心疾患患者に対するセルフ・モニタリング指導の長期効果は示されている(Izawa et al., 2005, 2012)。それらの報告では、退院後の身体活動量には身体活動セルフ・エフィカシー(以下SEPA)が関連することが示されている(Izawa et al., 2005)。本研究の目的は、①軽症脳梗塞患者に対する入院中のセルフ・モニタリングの指導が退院後の身体活動量に与える影響について、②退院後の身体活動量とSEPAの関連について明らかにすることである。</p><p>【方法】</p><p>本研究は、上記の先行研究の追跡研究である。先行研究の方法は、以下の通りである。対象者は急性期病院入院中に通常のリハビリテーション(以下リハ)に加えセルフ・モニタリングの指導を受ける介入群と、通常のリハのみが実施される対照群の2群に無作為割付けされた。介入群に対するセルフ・モニタリングの具体的指導内容は、①身体活動を行動記録表に記載させる、②身体活動量に関する具体的な目標を決める、③理学療法士が、対象者に前日よりも多く歩くことを促す、等とした。</p><p>本研究の対象は、退院後の身体活動量の測定についても同意が得られた者である。身体活動量の指標は、歩数(歩/日)および中高強度活動(MVPA)時間(分/日)で、測定にはFitbit One(Fitbit社製)が用いられた。また、退院後のSEPA尺度も調査された。我々は、両群における身体活動量およびSEPAを対応のないt検定により比較した。また、身体活動量とSEPAの関連には、Pearsonの積率相関係数が用いられた。有意水準は5%とした。</p><p>【結果】</p><p>解析対象者は介入群13例、対照群17例であった。退院後の歩数、MVPA時間およびSEPAは、両群間に差はなかった(歩数:6176.8 vs. 6112.8歩/日,p=0.932,MVPA時間:22.0 vs. 16.8分/日,p=0.332,SEPA:67.5 vs. 67.1点,p=0.967)。また、全例での年齢調整後における歩数とSEPAは正相関を認め(r=0.404,p=0.030)、MVPA時間とSEPAにも正相関を認めた(r=0.450,p=0.014)。</p><p>【結論】</p><p>軽症脳梗塞患者に対する入院中のセルフ・モニタリングの指導は、退院後の身体活動量の増加には寄与しない可能性がある。また、軽症脳梗塞患者の退院後の身体活動量には、SEPAが関連することが明らかになった。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は、ヘルシンキ宣言に従って、対象者に研究の趣旨の説明を行い、書面による同意を得た。なお本研究は、当院研究倫理委員会の承認を得て実施された。</p>

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001288157384960
  • NII Article ID
    130007692748
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.c-62_1
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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