胃切除患者における術前運動耐容能の違いが術後に及ぼす影響

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抄録

<p>(目的)運動耐容能は重要な生命予後規定因子とされているが、胃切除患者における術前の運動耐容能が術後に及ぼす影響については報告が少なく、明らかではない。よって今回、胃切除患者の術前の運動耐容能の違いが術後早期にどのような影響を及ぼすかについて検討した。</p><p> </p><p> (方法)当院において胃切除が施行された胃癌患者38例(男性26例、女性12例、平均年齢67.7±8.9歳)を対象とした。術式は開腹術(胃全摘及び部分切除)とした。全例、術前後の理学療法が施行された。術前に歩行が自立していなかった症例、重篤な合併症を持つ症例、術前後の評価が不可能だった症例は除外した。評価は手術前日と手術後7日目に実施した。評価項目は運動耐容能の評価として、術前と術後7日目の6分間歩行距離(以下、6MD)を用いた。また手術前の背景因子として、年齢、喫煙指数、肺機能(1秒量、1秒率、VC、%VC)、ALB値、BMI。手術中の背景因子として手術(麻酔)時間と出血量。術後因子として術後7日目の創部痛(NRS)、術後在院日数、術後歩行開始日数、術後歩行自立日数、術後理学療法日数、術後合併症の有無を調査した。統計解析は術前6MDを中央値423mで良好群と不良群の2群に分け、Mann-WhitneyのU検定およびX2検定を用いて比較した。また、術前6MDに関連する因子をPearson及びSpearmanの相関係数を用いて調査した。有意水準は5%未満とした。</p><p> </p><p> (結果)術前6MD良好群と不良群の比較では6MD不良群において、術後合併症が有意に増大していた。また、術前6MDとの関連においては、術前6MDと年齢が有意に関連していた。</p><p> </p><p> (結論)胃切除患者にとって術前運動耐容能の低下は術後早期の合併症増大につながる可能性が示唆された。胃切除患者の術前運動耐容能には年齢が関連しており、高齢で運動耐容能が低下している患者は術後の合併症に十分に留意する必要がある。</p><p> </p><p>(倫理的配慮,説明と同意)本研究はヘルシンキ宣言に基づき、全ての症例に対し研究の目的と内容を十分に説明し、研究の同意と承認を得た。また,大館市立総合病院倫理委員会の承認を得ている。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), A-77_1-A-77_1, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288157747200
  • NII論文ID
    130007692578
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.a-77_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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