健康成人男性に対するレペティショントレーニングが動脈スティフネスに及ぼす影響
説明
<p>【はじめに,目的】動脈硬化症の予防には,一般的に持続的トレーニング (CT) が推奨されている.近年,インターバルトレーニング (IT) は,CTと比較して同程度またはそれ以上に動脈機能を改善させ,さらに,総仕事量を減少させた場合においても動脈機能に対して有効であることが報告されている.一方で,主運動と完全休息を反復する運動を用いるレペティショントレーニング (RT) が,動脈機能に与える効果は十分に明らかにされていない.RTが動脈機能に対して有効であれば,新たな運動プログラムとして提案できる可能性がある.そこで,本研究は,RTが動脈スティフネスに及ぼす影響について検討した.</p><p> </p><p>【方法】被験者は,健康な成人男性19名であり,RT (RT群; 10名) およびCT (CT群; 9名) に無作為割賦した.自転車エルゴメータを用いて,RT群は,100%peak power output (Wmax) 強度で,20秒間の高強度運動と40秒間の完全休息を20回反復させる運動とし,CTは50%Wmax強度の持続的運動として,それぞれ20分間,週3回,6週間実施した.トレーニング期間前後に動脈機能の評価として,血圧脈波検査装置を用いて,約15分間の仰臥位安静後に収縮期血圧 (SBP),拡張期血圧 (DBP),心拍数 (HR),上腕-足首動脈間の脈波伝搬速度 (baPWV) を測定した.トレーニング効果を検討するために,反復測定による二元配置分散分析を行い,事後検定には,Bonferroni法をそれぞれ用いた.統計処理はSPSS ver24.0を使用し,有意水準5%をもって統計学的有意とした.</p><p> </p><p>【結果】トレーニング前後のbaPWVは,RT群で1142.9 ± 148.0 cm/sec,1110.9 ± 145.2 m/sec,CT群で1119.1 ± 91.8 cm/sec,1098.3 ± 45.7 m/secであり,RT群のトレーニング前後で有意差が認められた.SBPは,RT群で114.7 ± 7.8 mmHg,116.8 ± 7.7 mmHg,CT群で112.8 ± 5.4 mmHg,113.4 ± 5.2 mmHg,DBPは,RT群で63.8 ± 6.2 mmHg,61.1 ± 6.5 mmHg,CT群で63.7 ± 4.9 mmHg,62.2 ± 6.7 mmHg,HRは,RT群で62.1 ± 8.2 bpm,59.9 ± 7.5bpm,CT群で57.7 ± 7.3 bpm,58.0 ± 7.5 bpmであり,それぞれ有意な差は認められなかった.</p><p> </p><p>【結論】RT群において,トレーニング前と比較して,トレーニング後にbaPWVが低下した原因として,エンドセリン-1濃度の低下および一酸化窒素濃度の増加,さらに,血管壁の再構築といった器質的変化が影響したことが考えられる.CTおよびITに加えてRTも,動脈硬化の予防/改善を目的とした運動プログラムの選択肢の一つになる可能性が示唆された.</p><p> </p><p>【倫理的配慮、説明と同意】本研究は,徳島大学総合科学部人間科学分野における研究倫理委員会の承諾を得たものであり,被験者には,事前に文章および口頭にて研究内容・趣旨,参加の拒否・撤回・中断などについて説明し,書面にて承諾を得た後に実験を開始した (受付番号01).</p>
収録刊行物
-
- 理学療法学Supplement
-
理学療法学Supplement 46S1 (0), C-72_1-C-72_1, 2019
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
- Tweet
キーワード
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001288157764864
-
- NII論文ID
- 130007692769
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可