頭尾方向の動きを伴うPlank Exerciseの体幹・下肢筋活動の特徴

DOI
  • 植田 篤史
    阪堺病院 リハビリテーション部 関西福祉科学大学 リハビリテーション科学研究室スポーツ理学療法部門
  • 三谷 保弘
    関西福祉科学大学 保健医療学部リハビリテーション学科 関西福祉科学大学 リハビリテーション科学研究室スポーツ理学療法部門
  • 稲田 竜太
    運動器ケア しまだ病院 リハビリテーション課 関西福祉科学大学 リハビリテーション科学研究室スポーツ理学療法部門
  • 山本 遼平
    滋賀医科大学大学院 社会医学講座衛生学部門 関西福祉科学大学 リハビリテーション科学研究室スポーツ理学療法部門
  • 幸田 仁志
    関西福祉科学大学 保健医療学部リハビリテーション学科 関西福祉科学大学 リハビリテーション科学研究室スポーツ理学療法部門

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>Plank Exercise(以下PE)とは、腹部を床面に向けて前腕および足尖で身体を保持する運動である。PEは下肢や体幹のスタビリティトレーニングとして広く臨床現場で応用されており、我々は動的な状況下での安定性を獲得するべく、頭尾方向の動きを伴うDynamic Plank Exercise(以下DPE)を実施している。しかし、その運動特性は明らかでないことから、本研究ではDPEにおける体幹・下肢の筋活動を計測し、その特徴を明らかにすることを目的とした。</p><p> </p><p>【方法】</p><p>対象は健常男性13名とした。運動課題は、①肩屈曲90°でのPE(PE90°)、②肩屈曲100°でのPE(PE100°)、③肩屈曲90~100°の範囲で頭尾方向の動きを伴うDPEとし、各運動課題の筋電図を計測した。被験筋は、腹直筋 (RA)、外腹斜筋(EO)、腰部傍脊柱筋(IS)、大腿直筋(RF)、内側広筋(VM)、外側広筋(VL)とした。PEは3秒間の平均振幅を算出し、DPEは3回の平均振幅を算出した。また、頭尾方向の動きを伴うDPEにおいて、身体が頭方にある区間(頭方区間)と尾方にある区間(尾方区間)の2つに分け、それぞれの平均振幅を算出した。筋活動は最大筋力発揮時の平均振幅に対する割合(%MVC)を求めた。DPEはデジタルカメラの動画モード(30Hz)で撮影し、運動周期の特定に使用した。統計解析は、PE90° 、PE100°、DPEの比較には、Friedman検定(有意水準は0.05)を行い、その後の多重比較はWilcoxonの符号付き順位検定を行いBonferroniの不等式を適用した(有意水準は0.016)。また、DPEの頭方区間と尾方区間の比較にはWilcoxonの符号付き順位検定(有意水準は0.05)を行った。</p><p> </p><p>【結果】</p><p>RAの筋活動は、PE90°(38.2±21.6%)に比べてPE100°(50.6±29.1%)とDPE(59.5±35.1%)に有意な増大が認められた。RFの筋活動はPE90°(32.8±14.4%)に比べてPE100°(38.6±14.9%)に、EOの筋活動はPE90°(60.9±23.6%)に比べてPE100°(72.3±28.5%)に有意な増大が認められた。ISの筋活動はPE90°(13.6±5.4%)、PE100°(13.2±5.0%)に比べてDPE(10.8±5.3%)に有意な減少が求められた。DPEにおけるRAの筋活動は頭方区間(58.3±35.2%)に比べて尾方区間(61.1±35.8%)に、ISの筋活動は頭方区間(8.3±5.1%)に比べて尾方区間(13.2±5.8%)に有意な増大が認められた。</p><p> </p><p>【結論(考察も含む)】</p><p>RAの筋活動は、PE90°に比べてPE100°とDPEに有意な増大が認められた。また、DPEにおけるRAの筋活動は区間により差が認められ、律動的な筋収縮が生じていることが明らかとなった。これらのことから、DPEはRAの大きく律動的な筋活動を生じさせる手段となることが示唆された。また、RFとISはRAの活動により生じる骨盤の後傾モーメントに拮抗し体幹を安定させる作用があると考えられるが、PEとDPEとでは関与する筋が異なることが考えられた。</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>ヘルシンキ宣言に基づき、対象者には研究内容を十分に説明し研究参加の同意を得た。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-206_2-H2-206_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288157851776
  • NII論文ID
    130007693756
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-206_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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