糖尿病ラットの廃用性筋萎縮に対する荷重の予防効果について

DOI

抄録

<p>【はじめに、目的】</p><p>糖尿病患者は非糖尿病患者に比較し、心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高く、また、末梢神経障害によるバランス能力低下から転倒・骨折などにより安静臥床を余儀なくされる可能性が高い。そのため、糖尿病患者が廃用性筋萎縮を惹起される可能性は高いと考えられるが、その予防に対する運動効果については明らかではない。そこで、本研究では、非肥満2型糖尿病モデルラットであるGoto-Kakizakiラット(以下GKラット)に対し、尾部懸垂法を用い廃用性筋萎縮を作成し、その過程において荷重を加え、萎縮予防効果について検討することとした。対象はヒラメ筋とし、相対重量比、筋線維横断面積を中心に分析を行った。</p><p>【方法】</p><p>対象は8週齢のWistar系ラット24匹、GKラット24匹とした。Wistar系ラット、GKラットをそれぞれコントロール群(WC群: n=8、GC群: n=8)と1週間尾部懸垂する懸垂群(WS群: n=8、GS群: n=8)、1週間の尾部懸垂期間中毎日1時間荷重する群(WR群: n=8、GR群: n=8)に群分けした。実験終了後、麻酔下にて体重測定、血糖測定を実施した。右後肢よりヒラメ筋を摘出し、筋湿重量測定を行った。凍結切片を作成し、HE染色を実施、検鏡を行った。筋線維横断面積を画像解析ソフトImageJによって測定した。また、筋損傷の指標として、中心核線維、壊死線維について測定した全線維に対する発生割合を算出した。</p><p>統計学的処理は、各群の体重、血糖値、筋湿重量、筋湿重量、相対重量比、筋線維横断面積について、コントロール群、懸垂群、再荷重群間での一元配置分散分析を用い下位検定としてTukey法を用いた。また、壊死線維・中心核線維発生割合についてはχ剰検定を用い、Bonferroniの補正を行った。全ての統計処理はSPSS.Ver23(IBM SPSS)を使用し有意水準は5%とした。</p><p>【結果】</p><p>相対重量比は、Wistar系、GKラット伴に、懸垂群がコントロール群に比べ有意に低下していた。これに対し、WR群はWC群に比較し、有意に低下していたが、GR群とGC群の間に有意差はみられなかった。筋線維横断面積については、Wistar系ラット、GKラット伴に、コントロール群>荷重群>懸垂群で各群間に有意差がみられた。壊死線維発生割合は各群間に有意差はみられなかったが、GKラットの荷重群であるGR群は1.61%と中では高い数値を示した。</p><p>【考察】</p><p>筋線維横断面積の結果より、GKラットに対しても非糖尿病ラットによる先行研究同様、荷重刺激は筋萎縮予防効果があると考えられた。相対重量比の結果はWistar系ラット、GKラットで異なっており、Wistar系ラットとGKラットの筋線維タイプの違い、脂肪組織、総蛋白量などの影響を受けている可能性が考えられる。また、有意差はないものの、GR群は、壊死線維の割合が他群比べ多い傾向にあり、高血糖による脆弱性が示唆された。</p><p>【結論】</p><p>非糖尿病ラット同様、糖尿病ラットヒラメ筋の廃用性筋萎縮予防に荷重刺激はある程度効果を示した。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究は金沢大学動物実験委員会の承認を受けて実施した(承認番号:AP-153551)。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), I-151_2-I-151_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288157889536
  • NII論文ID
    130007694155
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.i-151_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ